こんにゃちは、猫月です🐱
ある日、後輩からこんな相談を受けました。
「今月のクラスだより、どうしましょうか?」
……どうしましょうか、と言われても
何に迷っているのか
何を相談したいのか
これだけでは、よくわかりませんね
あなたなら、どう答えますか?
「もう少し具体的に話してくれる?」
「まずは自分で考えてみたら?」
そう尋ねたくなるかもしれません
でも、「相手の話がわからない」とき、
本当に話す側ばかりに課題があるのでしょうか
今回は、相手の話を理解するために、聞く側にできることを考えてみます
「あなたは、どんな内容を想定しているの?」
先ほどの相談に、私はこう答えました。
👩🦰今月のクラスだより、どうしましょうか?
🐱あなたは、どんな内容を想定しているの?」
👩🦰水遊びは先月載せたので、運動遊びとか……。でも、運動会には早いですよねぇ
🐱そうだね。無理に運動会につなげなくてもいいと思うよ
後輩は、何も考えずに相談してきたわけではありませんでした
先月は水遊びの様子を載せた
今月は運動遊びを候補にしている
ただ、運動遊びを書くなら、運動会につなげた方がよいのだろうか
それにはまだ時期が早いのではないか
「どうしましょうか?」の中には、
そこまでの考えと迷いが入っていたのです
私がしたのは、ひとつ質問を返しただけです
すると、後輩がすでに考えていたことと、
どこで立ち止まっていたのかが見えてきました
もし私が「何が聞きたいの?」と返していたら、
後輩は相談したいことを、
最初からきれいに組み立て直さなければなりません
うまく説明できないから困っている相手に、
もう一度、完成した説明を求めることになります
「Kちゃん、もーやだ!」
似たようなことは、子どもとの間でも起こります
ある子が、怒りながら私のところへやって来ました
👦ぅぅぅ……Kちゃん、もーやだ!
あなたなら、どう関わりますか?
私は、こんなふうに話を聞きました
🐱あらら、ずいぶんと怒ってるね
👦Kちゃん、やなの!
🐱なにかされたの?
👦ちがう! Kちゃん、貸してくれないの!!
🐱あー、Kちゃんが使ってるおもちゃが欲しかったのね。あっちに、もうひとつあるよ
👦ちょーだい
最初に出てきたのは、「Kちゃんが嫌」という言葉でした
けれど、話を少しずつ確かめていくと、
Kちゃんに何かをされたわけではなく、
Kちゃんが使っているおもちゃを貸してほしかったことがわかりました
私の「なにかされたの?」という予想は外れています
それでも、「ちがう!」と返してもらえたことで、ひとつ可能性が消えました
子どもは、私の予想を足場にして、
自分の言いたかったことを少し補うことができたのです
聞く側が、一度で正解を言い当てる必要はありません
聞き手が「こういうこと?」と差し出し、
「そう」「違う」と返してもらいながら、
二人で会話の輪郭を作っていけば良いのだと思います
相手の話がわからないとき、こんなことが起きてない?
とはいえ、いつでも落ち着いて聞けるわけではありません
私たち保育士は、たいてい忙しい
後輩から声をかけられたときも、
子どもが泣きながら訴えてきたときも、
別の仕事を抱えていることがあります
そんなとき、つい、こんな言葉が出ます
「何が言いたいの?」
「もう少し整理してから話して」
「まずは自分で考えてみて」
子どもに対しても同じです
「泣いていたら、わからないよ」
「ちゃんとお話しして」
「そんなこと言わないで、仲良くしてね」
話を聞こうとしていないわけではありません
ただ、相手がうまく話せないときに、
「もっとわかりやすく話して」と返してしまっています
一方で、聞いている自分は、何がわからないのかを相手に伝えているでしょうか
事情がわからないのか
話の目的がわからないのか
どこまで本人が考えているのかがわからないのか
「話がわからない」という言葉の中にも、
いくつもの“わからない”があります
問いを広げる、問いを絞る
相手の考えを知る質問には、大きく二つの形があります
ひとつは、相手が自由に答えられる「オープンクエスチョン」です
「あなたは、どんな内容を想定しているの?」
「そのとき、どう思ったの?」
「これから、どうしたい?」
問いを広く開けて、相手の考えや経緯を話してもらいます
もうひとつは、「はい/いいえ」や、短い言葉で答えられる「クローズドクエスチョン」です
「運動遊びを載せたいの?」
「運動会につなげるか迷っているの?」
「Kちゃんになにかされたの?」
答える範囲を小さくして、ひとつずつ確かめていきます
後輩のように、すでに考えを言葉にできそうな相手には、問いを開いてみる
怒っていたり、まだ言葉を組み立てることが難しかったりする子どもには、こちらから小さな予想を差し出してみる
私はその場で、「ここはオープンクエスチョンだ」「次はクローズドクエスチョンだ」と考えているわけではありません
相手がどのくらい言葉にできそうかを見ながら、質問の幅を変えています
そして、もうひとつ大切なのが、受け取った内容を相手に返すことです
「運動会につなげるには早いか、迷っているのね」
「Kちゃんが使っているおもちゃが欲しかったのね」
自分の理解を言葉にして返せば、合っていれば話を先へ進められます
違っていれば、相手が訂正できます
仕事の確認には、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」といった5W2Hも役に立ちます
ただし、それを上から順番に聞いていけば、
相手にとっては事情聴取されているようにも感じるでしょう
全部を聞き出そうとするより、いま自分がわからないところをひとつ確かめる
その返事を聞いて、次の問いを考える
その往復が、会話なのだと思います
🎯大事なのは、「あなたを理解したい」という姿勢
オープンクエスチョンも、クローズドクエスチョンも、
あくまで質問の形です
使い方によっては、どちらも相手を追い詰めます
「それで?」「ほかには?」「どうして?」と問い続ければ、
オープンクエスチョンでも尋問になります
クローズドクエスチョンも、
こちらが考えた筋書きへ相手を誘導するために使えば、
「はい」と言わせる質問になってしまいます
質問の根っこに置きたいのは、「あなたを理解したい」という姿勢です
後輩の見ているものを、自分も一緒に見ようとする
子どもが言葉にしようとしていることを、隣で一緒に探す
その姿勢が伝われば、「違います」「そうじゃなくて」と返してもらえます
聞き手の予想が外れても、会話を続けられます
コミュニケーションは、話す人が完成した情報を渡し、聞く人が受け取るだけのものではありません
わからないところを問い、わかったところを返し、ときには誤解を訂正してもらいながら、二人の間に意味をつくっていくものです
だから、「相手の話がわからない」と感じたときには、こんなふうに問い直してみたいのです
「わかりやすく話してほしい」と思う私は、何がわからないのかを相手に伝えられているだろうか
ある日の夕方、後輩が少し言いよどみながら、声をかけてきました
「先生、ちょっといいですか?」
「今日の保護者対応のことなんですけど……その……」
「私、ちゃんとできてなかったかもしれなくて……」
後輩は、まだ相談したいことをうまくまとめられていないようです
こんなとき、あなたならどんな言葉で応えますか?
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