子どもは力を持っている─大事なのは、発揮できる環境と支える配慮 #7

※記事内に広告を含む可能性があります
※記事内に広告を含む可能性があります
サムネイル「“子どもを保育する”のか “子どもと保育する”のか〜何が子どもの姿を変えたのか?〜」と表題されています。 やってみたよ!こんな保育

こんにゃちは、猫月です😺

これまでの6話で3歳児の保育園での1日を追ってきました
今回は、改めて子どもの姿の Before & After を見つめてみたいと思います

ワツキ
ワツキ

3歳児の保育、普段の1日のお話でしたけど、
たくさんの配慮や環境設定があるんですね
いろいろな場面で、保育士の配慮があると、
それぞれ成長していくんですね〜

猫月
猫月

私自身は「成長した」とは思ってないよ
子どもが元から持っていた力があって、
それを発揮できるように“整えた”って感じだね

第1️⃣話:「なんてことのない1日」にこそ、」自立の芽はある
第2️⃣話:「着替えないあの子」に、どう関わったか
第3️⃣話:「当たり前」な姿にこそ目を向ける
第4️⃣話:給食の時間にこそ、子どもの主体性を
第5️⃣話:“眠くなったら、眠る”を大事にしたい
第6️⃣話:「私のお昼寝の片付けは“15分”です」

連載の初回では、「3歳児のなんてことのない1日」をBeforeの姿で紹介しました

登園を渋る子、
着替えを拒む子、
給食が進まない子、
布団に入っても眠れない子
保育の現場ではよく見る光景ですが、
それは本当に子どもの“できない”事だったのでしょうか

ここで、改めてBefore/Afterの比較を見てみましょう

このBeforeの姿に、
“配慮”という考察をしながら、環境や関わりを少しずつ変えていくと、
子どもたちの姿も変化していきました

・着替えない子が、自分で時間を見て動くようになり
・手伝いたがる子が、配膳の順番すら楽しみにするようになり
・寝かされていた子が、誰かを寝かしつける側になった

同じ子どもたちが、同じ1日を過ごしている
それでも、関わり方と環境が変わることで、
“発揮される力”がまるで違ってきたのです

私たち保育者は、ときに「どうすれば育てられるか」と悩みます
でも、倉橋惣三は『育ての心』の中でこう語っています

この連載のタイトルを『子どもは力を持っている』としたのは、
そんな思いを込めてのことでした

『子どもは力を持っている』のだから、
あとはその力を発揮できる環境を用意すれば良い

そんな姿勢で保育士が毎日の生活をともにしていく中で、子どもたちは育っていきます
それは、“保育士が育てた”のではなく、子ども自身が“育っていった”結果です

倉橋はこのようにも語っています

動機はあくまで子どもの中から生まれるものであり、
保育士はその成長の芽を感じ取り、子どもの思いが発揮される環境を整える
それが保育の理想であり、私たちが目指すものだということです

私が常に感じている違和感があります

保育園での保育士配置基準の話題になると、
『この大人の数で“子どもを保育する”のは難しい』という言葉です
確かに、大人が子どもに尽くす環境であれば、
子どもは大人に頼りますから、大人の手がいくらあっても足りないでしょう

ですが、“保育園は子どもたちのコミュニティ”です
生活するのは、あくまで子どもたち
そして、日々の生活を通して、子どもたちは自分の力を花開かせていくのです

だから私は、“子どもと保育する”ことを大事にしています
保育士が子どもたちに尽くすのではなく、
子どもたちが持っている力を十分に発揮できるように
・行動しやすい環境を整える
・気持ちよく取り組める援助をする
・成長を自覚できる言葉をかける
それが、子どもたちの日常の中での大人の振る舞いだと思うのです

私たちの保育を振り返ってみてください
・子どもたちが着替えるタイミングを考える
・頑張りが報われることで意欲を持てる
・自分の食事は自分で用意、片付けをする
・眠くなったら眠る、眠りたい友だちを手伝う
・子どもの”できる”を理解する
どの場面でも、子どもたち自身が保育しているのです

もちろん、子どもの手では難しいこともありますから、
そこは子どもに“代わって”保育士が行います
だから、子どもたちにはこう伝えています
「みんなができることを、私たちは知っているよ」
「でも、まだ難しいこともあるから、そこは大人が手伝うよ」
「『手伝って』が言えることも、大事なことなんだよ」

できること、できるようになりたいことが、子どもたちにはたくさんあります
今はできないことも「いつかはできるようになる」と信頼し続けること
その信頼をカタチにすることが”配慮”なのではないでしょうか

最後までお読みいただき、ありがとうございます
さて、ここまでお読みくださったあなたに、最後に問いかけたいことがあります
あなたが明日から始められそうな、“小さな配慮”はどこにありますか?
それは、登園の一言かもしれません
着替えの援助のタイミングかもしれません
声をかける代わりに、信じて待つ姿勢かもしれません
この連載から、あなたの保育に少しでも子供を見つめる視点に別の角度が添えられたなら、これ以上の喜びはありません

コメント

タイトルとURLをコピーしました