こんにゃちは、猫月だんくるおすてうすです。
質問をいただきました。
絵本を読み聞かせるとき、
「書かれている通りに読むのが良い」という話や
「子どもに合わせて読み方を変えるのが良い」という話を耳にします。
猫月さんは、絵本は作品の通りに読まれますか?
以前、藤本ともひこさんの講演を拝聴した際、
「絵本の作者の一人としては、好きに読んでいただきたいと思っています」
と仰っていました。
もちろん、絵本作者の全員がそう思っているわけではないでしょうが、
絵本を手にしたひとにバトンは委ねられている
と私は考えています。
では、私はどうしているかと言えば、
基本的には、文章は作品に書かれている通りに読みます🤓
ただし、読み方は思いっきり演出します🤣
今回は、絵本の読み方についてお話していきます。
文語を大事にする
絵本は基本、文語(書き言葉)で書かれています。
文語というのは、主語と述語、助詞など、
文章としての体裁が整えられた言語表現ですね。
一方、普段の会話で使う言語表現は、口語(話し言葉)と呼ばれます。
「言語力」というのは、
口語と文語の両方を獲得して、
初めて「身につけた」といえます。
絵本は、子どもが文語にふれる貴重な機会です。
そして絵本作家は、子どもに伝わるような言葉や表現を選んで、絵本にしています。
餅は餅屋と言いましょうか、
プロの作家が子どもにも楽しめるように書いた文章を、
素人である私がいじるというのは、
「出しゃばり」だと思っているのです。
もちろん、絵本の読み方は自由です。
それは藤本さんも仰っていますし、
子どもがどのように絵本を楽しもうと、
それはそれで絵本が活きているのだとも思っています☺
読み方に正解はない
なーんて、しゃちほこ張ったことを言いながら、
私の絵本の読み方もなかなかクセがあります🤣
まずそもそも、絵本の正しい読み方なんて誰も知らない。
例えば、『どこいったん』『ちがうねん』という絵本があります。
タイトルからお分かりいただけるでしょうが、
関西弁調で書かれている絵本です。
ところがこれ、作者のジョン・クラッセンさんはカナダ人。
翻訳を担当した長谷川義史さんが、英語を関西弁に起こしたのです。
(長谷川さんは、『いいからいいから』や『じゃがいもポテトくん』などでご存じの方もいらっしゃるのでは)
長谷川さんは、翻訳の打診があったときに
「出版社が僕に依頼をしたということは、
(絵本ナビインタビュー2013.02.17より)
きっと大阪弁で書いてほしいんだなって思って(笑)」
と仕事をお受けになったそうです🤣
インタビュー記事を読むに、
『どこいったん』『ちがうねん』は、
大阪弁で読むのが正当なのでしょうけれど、
作中にはどこにも、登場する動物たちが大阪弁で喋るとは書いていません😚
ハッキリ言ってしまえば、エセ関西弁で読んでます🤣
ちょっと話が脱線しますが―
『新世紀エヴァンゲリオン』の
鈴原トウジ役にキャスティングされた関智一さん。
関さんは東京出身ですが、トウジは大阪弁を喋るんですね。
ですが、庵野秀明監督から
「これは未来の話だから、今の大阪弁と違って良いよ」と
お話があったそうです。
なるほど、
演出には、”あそび”が大事なんだと思います♪
ということで、私は作品の文章は大事に丁寧に扱いますが、
こと読み方…テンポやリズム、行間、語調に関しては、かなり遊びます😽
そもそも、正解がどこにもないですからね。
『はつてんじん』などの落語絵本も、
なんとなく江戸っ子を意識して読みますが、
実際の江戸弁を多くの人は使っていないわけで、
江戸弁風に楽しめれば良いのではないかと👍
そこはもう、イマジネーションの範疇だと思います😄
絵本は、落語に似ている
これは完全に私見ですが(笑)
私は、絵本は落語に似ていると考えています。
落語には古典落語というものがありますが、
それこそ江戸時代に作られたみんなが知っている噺があるわけです。
先程の『はつてんじん』もそうですし、
有名なところだろ『じゅげむ』や『めぐろのさんま』などもありますね。
ですが、噺家によって同じ作品でも面白さが変わります。
それは、噺に入る前の枕や、所々の言い回しなどを変えるからなのですが、
そこが噺家さんの腕の見せ所。
絵本もそれと似ているな、と私は思っていて、
絵本を読む前の素話であったり手遊びであったり、
絵本を読む中での語調やリズム、テンポなどは
読み手によって変わっていきます。
それは、良いとか悪いとかではなく、
その人の“味”なのだと思います。
以前、友人の保育士から
『きょだいな きょだいな』
を聞かせてほしいという話がありました。
私はこれまでのように読んだのですが、
「やっぱり、人によって(読み方が)全然違うねー」
というのが友人の感想でした。
保育士が読んでも、絵本の読み方は違うのです。
だからこそ、絵本は魅力がいくらでも出てくるのですけれどね😉
この絵本、あなたならどう読む?
『ほげちゃん』という絵本があります。
表紙を見ていただくと、
なんとも味のあるほげちゃんが描かれています。
タイトルを見ても、表紙を見ても、
どんな内容のお話なのか、想像もつきませんよね(笑)
私は好きな一冊なのですが、
まぁ読み手の腕を問うといいますか🤣
とにかく一度読んでみてください。
できれば、子どもに読み聞かせてみてください。
この絵本の楽しさを子どもと共有できたら、
最初の私の返答もご理解いただけるのではないかと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
絵本の読み方に、正解というものはありません。
私としては、
子どもの「言語力」の源泉として保育で活用したい
という目的があるので、
作品の通りに読むことを重視しています。
ただ絵本の持つ力は、それ以外にもたくさんありますので、
あなたの目的に合った活用方法を見つけ出していただければ、と思います。
絵本、楽しんでくださいね♪
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