こんにゃちは🐈、猫月だんくるおすてうすです。
今回は、保育園を利用している子どもたち、その保護者、
また働く保育者に関わる重要なもの
“保育所保育指針”についてお話ししていきます。
保護者の方の中には、
「“保育所保育指針”って、何?😲」
と思う方もいらっしゃるかも知れません。
保育士も、保護者に保育所保育指針について保護者や子どもたちに
説明する機会は、なかなか無いのが現状だと思います。
ということで、私が保育所保育指針の内容について触れつつ、
私はどう保育を心懸けているかについてお話ししていきたいと思っております。
“保育所保育指針”って?
以前、保育所保育指針とはどのようなものかについて触れた記事がありますので、
あらましはこちらを読んでいただけるとありがたいです。
それを前提にして、今回は
第1章 総則
1:保育所保育に関する基本原則
(1)保育所の役割
についてお話ししていきます。
第1章 総則
この指針は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年)厚生省令第63号(以下「設備運営基準」という。)第35条の規定に基づき、保育所における保育の内容に関する事項及びこれに関連する運営に関する事項を定めるものである。 各保育所は、この指針において規定される保育の内容に係る基本原則に関する事項等を踏まえ、 各保育所の実情に応じて創意工夫を図り、保育所の機能及び質の向上に努めなければならない。
保育所保育指針 総則前文
現行の保育所保育指針は、
2017年に公示され、2018年4月1日より適用されています。
(要約しますが、用語が多いことはご了承ください😅)
保育所保育指針は、
全ての保育所が拠るべき
保育の基本的事項を定めているものです。
各保育園は
それぞれの特色を発揮しつつ、
一定の保育の水準を保ち、
更なる向上を目指す基点となるよう、
指針で定めています。
これは、小規模保育や
家庭的保育等の地域型保育事業
及び認可外保育施設も対象としているものです。
砕けて言うなら、
「ローカルルールは存分に発揮してね
けれど、基本的なルールはあるから
そこは踏み外さないでね」
という、トランプ🃏の大富豪(大貧民)的な感じでしょうかね。
保育所(園)の役割とは?
保育所(園)がどんな施設なのかというと、
児童福祉法にその規定が書かれています。
保育所は、保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設(利用定員が 20人以上であるものに限り、幼保連携型認定「こども園を除く」)とする。
児童福祉法 第39条
※旧指針の「保育に欠ける子ども」という記述は、児童福祉法の改正により「保育を必要とする子ども」に変更されました。
「保育を必要とする子ども」という点で、
例えば育児休暇などで保護者が家庭にいる状況であっても、
保育が必要と判断されれば保育園を利用できるわけです。
ただ、あくまで保育園の利用主体者は子どもです。
保護者ではないという点は重視しなければなりません。
そこは、保護者の皆さんにも覚えておいていただきたい点です。
さて、保育園の役割については、更に詳細に指針へ記載されています。
1 保育所保育に関する基本原則
(1) 保育所の役割
ア 保育所は、児童福祉法(昭和22年法律第164号) 第39条の規定 に基づき、保育を必要とする子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならない。
イ 保育所は、その目的を達成するために、保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。
ウ 保育所は、入所する子どもを保育するとともに、家庭や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、入所する子どもの保護者に対する支援及び地域の子育て家庭に対する支援等を行う役割を担うものである。
エ 保育所における保育士は、児童福祉法第18条の4の規定を踏まえ、保育所の役割及び機能が適切に発揮されるように、倫理観に裏付けられた専門知識、技術及び判断をもって、子どもを保育するとともに、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行うものであり、その職責を遂行するための専門性の向上に絶えず努めなければならない。
全文を覚えていただく必要はありません。
重要なのは、以下の点です。
・「子どもの最善の利益を考慮する」生活の場である
・専門性のある職員が「養護及び教育」を一体的に行う
・「地域の子育て支援」を行う
・「保護者の子育て」を共に行っていく
保育所・保育士の役割をまとめると、こんな感じでしょうか。
この四つの要点を、掘り下げてみようと思います。
子どもの最善の利益を考慮する
「子どもの最善の利益」は、
子どもの権利条約の中でもキーワードの一つです。
社会にはいろいろな人の利益があり、
子どもの利益の他、
コミュニティ全体の利益もあれば、
家庭の利益もあります。
ですが、「保育園では子どもの最善の利益を追求しようよ」と指針では謳っているわけです。
では、「子どもの最善の利益」とは何でしょうか?
中川李枝子さんの言葉をお借りするなら、
「子どもらしい子ども」でいられることが、最善の利益なのではないでしょうか。
そうなると、子どもが子どもらしくいられる環境とは?
これには、ヒトという生き物を理解していることが重要だと私は考えています。
ヒト(ホモ=サピエンス)とはどんな生き物なのでしょう?
今日はそこは割愛しますが、他の生き物と決定的に違う特性が我々にはあります。
ちょっと考えてみてください。
そこに思いを馳せることが、「子どもの最善の利益」の根っこに至る一つの道筋だと思います。
養護及び教育を一体的に行う
子どもを養護する、子どもを教育する、というのはどういうことでしょうか。
養護を簡潔に表すと、「生命の保持及び情緒の安定」とされています。
子どもは、自分の命を自分で守ることが困難です。
また、自分で安心できる環境を見つけることも同じく困難です。
そのためには、大人の力が必要なわけですね。
例えば、衣食住の保証。
子どもが心地よく過ごせるためには、
適切な衣服、意欲的に食べられる食事、安全に過ごせる空間などが重要になってきます。
そして、安心して過ごせる大人の存在。
子どもの成長しようとする姿を見守り、時に支えてくれる
大人の存在が、養護には欠かせません。
”愛着”というものがしっかり育まれてこそ、子どもは健やかに育っていくのですから。
教育はというと、「様々な活動を通して発達を支援していくこと」とされています。
私も”教育”という言葉を読むたびに思うのですが、
「教える・育てる」という意味だと、矛盾が生じてしまうのです。
子どもは、主体性を発揮しながら「育つ」ものです。
大人が「育てー!」といくら外から力をかけても、子どもは育ちませんよね。
それで育つなら、いくらでも大人が理想とする人間を作れることになってしまう。
ですから、私は”教育”は「教わる・育つ」という意味だと考えるようになりました。
子どもは、主体的に自身の周りにある環境(大人や自然、玩具などをすべて含む)と関わり、いろいろなことを学んでいきます。
時には、大人からすれば危険な行動もしながら、
自分で自身や世界を学んでいく。
それが”育つ”=発達するということでしょう。
その学びの中で、時には先達に”教わる”こともあるでしょう。
例えば、危険な物の扱い方や、場所を教わる。
先見を持って環境と関わる準備ですね。
ヒトの脳には扁桃体という機関があり、
本能的に危険と感じる物には近づかない能力があります。
苦い物や酸っぱい物を吐き出したり、臭い物を避けるなどです。
ですが、現代の世の中には、味や臭いがしない危険な物もあります。
(うちの子は、ボックスティシューの口にあるビニルを飲み込んだので、急いで取り出しました😱)
そういう本能で気取れない物は、教わらないと分かりません。
また、学校などでの授業も、
まずは子どもの興味・関心が先にある物だと考えています。
就学後に授業に意欲的に臨むためには、
幼児期にどれだけ好奇心を獲得できたかが大事です。
「これは、どうして○○なんだろう?」という知的探究心を保障することが、
保育園には求められているのです。
地域の支援を行う
現在の保育園は、
通ってくるお子さんと保護者だけでなく、
地域の保護者支援の役割も担っています。
それは、地域の親子を孤立させないという目的もありますが、
保育園が地域から孤立しない、という目的もあります。
たまに耳にしませんか?保育園建設を、地域住民が反対するという話を。
園児も保護者も、地域の住民であります。
保育園は地域住民に貢献し、また一方で地域と連携して、
助け・助けられることで成り立っているのです。
ここで視野が狭窄してしまうと、
園内の子どもと保護者に意識が向かなくなってしまいます。
子どもたちは、園のある地域を通って保育園に登降園します。
近隣の公園へ散歩することもあるでしょう。
地域と関わっていない保育園など、存在しません。
保育園は地域の一員であるのですから、
地域に還元できる物は行っていくのが大事、
というのは理解してもらえると思います。
地域に還元すると言っても、
そこにはできることと難しいことがありますが、
保育園の特性を発揮するのであれば、
やはり地域の子育て支援がメインとなってくるでしょう。
それと同時に、園児が地域と交わる機会を設けることも、
園児にとっては有意義なことだと思います。
地域とどのように関われるかは、
子どものため、保育園のためでもあるので、
そこは大事に考えていって欲しいと願うところです。
地域と、支え・支えられ、の関係を築くのは、
結果Win-Winな関係性を持てることになると思いますよ。
子育てを共に行っていく
私は、子育ての伴走者だと思っています。
保育士は、子どもの発達の専門家です。
発達がどのように進み、
子どもの能力がどのように展開されていくかを、
十分に承知しているプロフェッショナルです。
ですが、子どもが主に活動する環境は、家庭です。
「今は、超長時間保育の子どもが増えている」という声も耳にしますが、
だからといって保育所が家庭を超えることはありません。
家庭と保育園と、どちらも子どもにとっては大事な環境です。
であれば、保護者と子どもの育ちを共に考えていくことの重要さは、言わずもがなですよね。
私個人の考え方は、
「保育士は保護者の伴走者でありたい」と思っています。
先を行くでも、後を追うでもなく、
その子の育ちを一緒に見守るのが、保育士。
ですから、保護者の子育てを評価することがないように気をつけています。
もちろん、保育士は子どもの発達に関する専門知識では保護者を上回ることが多いでしょう。
患者が医師より医学に精通しているなんてのは、かなりのレアケースです。
それと同じです。
ですが、子育てについて最終的な判断を下すのは、保護者です。
保育士にその権利はありませんし、
保護者と子どもに対しては最大限の敬意を払うのが責務です。
保育士は、保護者が判断するために、最大限に情報提供するのが責務だと思っています。
だから、伴走者。
「こっちの道の方が、走りやすいかもね」くらいの助言はします。
でも、道を決めるのは保護者です。
保護者が険しい場面にぶつかったら、また一緒に考えれば良い。
「何でこっちの道を選んだの💢」といったら、
それはプロの仕事ではありませんよね。
(口にする人、いそうですけど😔)
自分にプロフェッショナルとしてのプライドがある保育士は、
そこで一線を引けるはずです。
指針でも、それが求められていると思います。
あくまで、子育ての主役は子どもと保護者ということを、大事にしていきたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、第1章 総則 1:保育所保育に関する基本原則(1)保育所の役割についてお話しさせていただきました。
保育所保育指針は法律ではありませんから、
遵守するといったものではありませんが、
羅針盤のない船は遭難するように、
指針のない保育は迷走すると思います。
迷走する保育で被害を受けるのは、子どもと保護者です。
子どもも保護者も、そして保育者も笑顔で過ごせるためにも、
保育所保育指針は大事な物であると思います。
ということで、私なりに要約をしていきたいと取り上げてみました。
今後も、保育所保育指針は取り上げていきたいと思いますので、お付き合いいただけると幸いです。
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