こんにゃちは、猫月です😸
先日(2024.10.19)『絵本ドラフト』を開催しました
主催は、保育塾VIREVAのうちさん
私は企画を持ち込んで
プラットフォームを利用させてもらった形です
今回は『絵本ドラフト』で
私が選んだ絵本・児童書10冊を
選んだ理由と併せて
簡単に紹介していきます
『絵本ドラフト』の概要
まず、『絵本ドラフト』について
簡単に説明します
・保育園の玄関にある本棚に収める10冊を選びます
・10冊の内訳は
本棚の顔となる1冊
共通のテーマを持った3冊
常時置いておきたい6冊
・1巡に1冊ずつ選択する(10巡する)
・欲しい絵本が被った場合はくじ引きで決める
今回はパネラーが4人だったので
計40冊の絵本が紹介されました
ドラフトの面白いところは
欲しい本が被った時のくじ引きですが
今回は被りませんでしたね
でも、欲しかった絵本を
先に取られてしまうことはありました
同じ絵本でも
選んだ理由は人それぞれなので
それぞれのプレゼンも面白かったです
さて、ここからは私が選んだ10冊を
紹介していきましょう
にげてさがして
【にげてさがして】
ヨシタケシンスケ©赤ちゃんとママ社
子どもにも読みたいし
大人にも読んで欲しいと思って
本棚の顔にしました
世の中にはいろいろな人がいて
相手の気持ちがわからず
あなたを傷つける人もいます
そんな人(環境)からは逃げていい
あなたを傷つけるものからは逃げて
あなたが居心地の好い場所を探しましょう
あなたを傷つける人がいるように
あなたと温かく接してくれる人もいます
にげて さがして
あなたの居場所を見つければ良いんです
子どもであっても
大人であっても
それは同じです
大人も安心できる環境で暮らして欲しい
そして、子どもが逃げたがった時に
保障してあげて欲しい
そんな思いを込めて
本棚の一番上に並べました
す~べりだい・すなばばば・ぶららんこ
【す~べりだい】
【すなばばば】
【ぶららんこ】
鈴木のりたけ©PHP研究所
鈴木のりたけさんの
言葉遊びが楽しい3冊です
私はテーマを持った3冊として
このシリーズを選びました
本音を言うと
“オノマトペ”の絵本を
テーマとして揃えたかったんです
ただ、今回の絵本ドラフトでは
【もこ もこもこ】(谷川俊太郎・元永定正©文研出版)を
先に取られてしまいました😱
ということで戦略変更!
子どもたちが好きな遊具と
言葉遊びを掛け合わせた
鈴木のりたけさんの3冊に切り替えたのです
この絵本を読んだあと
子どもたちの遊具での遊び方が変わるんですよね
たとえば【す~べりだい】
“ー”(のばし棒)の位置や長さで
すべり台の形状が変わるこの作品
子どもたちは
ちょっと勢いをつけて
「すべりだいー!」とか
自分でブレーキを掛けて
「すべれない」とか
すべり方で再現しようとします
言葉で遊ぶ面白さと
イメージの広がりと
どちらも楽しめる作品です
どこいったん
【どこいったん】
ジョン・クラッセン(訳 長谷川義史)©クレヨンハウス
ブラック・ユーモアの絵本です
原作はカナダの絵本作家ジョン・クラッセンさん
それを長谷川義史さんが翻訳したことで
何とも魅力的な作品になっています
この絵本を子どもたちに読んだとき
年中以下の子どもたちと
年長児とでは
反応が違うんですよね~
ブラック・ユーモアに仕立てているので
直接的な表現がされていません
作品内では
クマが自分の帽子を探して
森の中をあちこち訊ねて回るのですが
帽子を見つけた時にどうしたのか
長谷川さんは直訳しませんでした
そこに面白さが生じるのです
ここが不思議なもので
年中以下の子どもたちは
文章の通りに受け取ります
ところが年長児は
言葉の裏が読めるんですね
私としては
あくまで方言を楽しめる絵本として
本棚に置いているのですが
子どものコンテクスト(context)読みが
副次的に生まれるという意味でも
魅力的な1冊だと思っています
いやいやえん
【いやいやえん】
中川李枝子・大村百合子©福音館書店
【いやいやえん】との出逢いは
収録されている「くじらとり」を
ジブリ美術館で観たことからでした
ジブリ美術館へ行くと
【ジブリの森のえいが】という
短編映画を観ることができるのです
その時に上映されたのが
「くじらとり」でした
保育園の子どもたちが
大型つみきで船を作り
くじらとりへ出掛けます
その姿があまりに活き活きとしていて
私は「子どもたちとこんな遊びがしたい」と
すっかり引き込まれてしまいました
私自身
幼稚園で毎日のようにつみきで遊んでいました
そしてごっこ遊びを楽しんでいたのです
【いやいやえん】を書き上げた経緯については
中川李枝子さんがエッセイでお話しされていますので
ご興味のある方は読んでみてください
【子どもはみんな問題児。】
中川李枝子🄫新潮社
子どもが本を読むときに
自分と等身大の登場人物が登場したら
それだけでグッと引き込まれると思うのです
私は絵本に入り込んでいる状態を
「ダイブする」と呼んでいます
【ハチワンダイバー】(柴田ヨクサル©集英社)から
引用してます(笑)
児童書になると
絵本よりも絵が減りますが
想像力が豊かになっている子は
挿絵と文章から
より自由にイメージを膨らませることができます
子どもの創造、思考、表現、読解力を広げる
そのきっかけとして
私はこの本を推しています
パパとママのつかいかた
【パパとママのつかいかた】
ピーター・ベントリー サラ・オギルヴィー(訳 福本友美子)©BL出版
なかなかインパクトの強いタイトルですね(笑)
この絵本を私はジャケ買いしました🤣
もうタイトルからして
面白さしか感じない🤣
子どもからすると
大人からのコミュニケーションには
“注意”とか“指摘”とか“指導”とかが多く感じられる
それはそれで
子どもへの愛情があってのことなんですけれど
その矢印は大人の上にあるんですよね…
この絵本には
そんなやかましい大人に対して
「それでも、パパとママは大好き」
がいっぱい詰まっています
パパとママの“つかいかた”というのが
大人の愛情に対する
ある意味でアンサーなんでしょうね
子どもたちは激しく同意
大人はちょっと苦笑い
でも、そこには大切なコミュニケーションが
込められているのだと思います
大人にも子どもにも読んで欲しい
そんな絵本です
デイビッドがっこうへいく
【デイビッドがっこうへいく】
デイビッド・シャノン(訳 小川仁央)©評論社
この絵本に登場するデイビッドは
作者のデイビッド・シャノンさん本人です
ご自身の子どもの頃のエピソードを
絵本に書き起こしたんですね
デイビッドにはシリーズがあって
【だめよ、デイビッド!】
が先に発行されています
それでもこちらの絵本を選んだのには理由があって
【デイビッドがっこうへいく】では
最後の一幕で
デイビッドの貢献ぶりがあるんです
私は個人的に
子どもには行動の結果と
責任を受け止める権利があると考えています
子どもの失態を
何でもかんでも大人が代わってしまうのは
子どもを守っているようであって
実は権利のはく奪だと思うのです
この絵本では
教室中を汚してしまったデイビッドが
きれいに掃除を仕上げて
下校していく姿で終わります
ただ叱られて終わりではなく
自身の責任を果たしているんですね
子どもが誤ったときに
自分で立ち上がれる力をつけてもらいたい
と私は願っています
そういう願いも込めて
この1冊を本棚に収めようと思いました
さんまいのおふだ
【さんまいのおふだ】
水沢謙一・梶山俊夫©福音館書店
私は日本の昔話を大事にしています
桃太郎やかぐや姫、かさ地蔵などですね
子どもたちはメディアの影響もあって
西洋のお伽話にふれる機会はそれなりにありますが
日本の昔話は意図して用意しないと
知らない子も多いです
保育士ですら
金太郎の話を知らないこともありますからね…
それと加えて
方言にふれる機会も
大事にしたいと考えています
上で紹介した【どこいったん】は
関西弁に翻訳されていますが
この【さんまいのおふだ】は
新潟地方の方言で表現されているそうです
小僧さんが枝を切る時に
“ぶっかつね”と表現されていますね
絵から状況は分かるんだけれど
自分が知らない言葉で表現されている
「これってどういう意味?」
という興味を持ってもらいたいのです
標準語だと思われがちな東京にも
実は方言があって
「かたす」=片付ける
「おっかない」=怖い
「しゃしゃる」=余計なことをする
などがあります
同じ日本語なんだけれど
言葉って多彩なんだよ
ということを感じてもらいたいなと
私としては思うのです
【さんまいのおふだ】は
子どもたちの好きな“こわい話”でもありますしね
日本の昔話であり
方言表現もあり
こわい話でもあり
子どもにとって魅力のある絵本だと思います
おねえさんになるひ
【おねえさんになるひ】
ローレンス・アンホルト キャサリン・アンホルト(訳 吉上恭太)©徳間書店
以前にも紹介している絵本です
これは私の個人的な感想ですが
日本の兄弟姉妹にまつわる絵本って
大人の理想的な子どもになりがちだと思うのです
それが悪いというわけではありませんが
私も兄弟の一番上なので
下の弟妹が生まれるというのは
やっぱり大きな葛藤があるよね
という思いがあります
ちゃんとお兄ちゃん・お姉ちゃんしなくても良いじゃん?
というのが私の本音です
【おねえさんになるひ】では
弟妹が生まれるのを待ち遠しく思っていたのに
いざ、姉となったら
思っていたような日々は来なかった
むしろ、うとましくさえ思う
そういう子どもの思いが描かれています
赤ちゃんなんていない方が良い
そういう気持ちは否定されるものではない
私はそう思うのです
そういう葛藤を抱えつつも
子どもはやっぱり成長していくのですが
そこを周囲の大人が
どうやって受容し
子どもの成長を見守っていくのか
大人の葛藤も含めつつ
いろいろな人に読んでもらいたい
その思いで選びました
日本の教育では
“道徳”を大事にしますが
教えられて身につくものじゃないと思います
生きていく中での葛藤を経て
「こうした方が暮らしやすい」を
自分で獲得していくことが
すごく大事なんじゃないかなぁ
最後までお読みいただき
ありがとうございます
今回は『絵本ドラフト』で
私が選んだ10冊を紹介しました
保育園の玄関に置く本ですから
ただただ楽しい絵本を揃えるというよりも
ある程度のメッセージ性も載せて
絵本を選んだつもりです
もちろん楽しい絵本であることは前提にね♪
あなたが気になる絵本があったら
手に取っていただけたら嬉しいです
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