なんだろう?“保育所保育指針”【保育の計画及び評価】

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なんだろう?保育所保育指針

こんにゃちは、猫月です😸

今回は、保育園を利用している子どもたち、その保護者、
また働く保育者に関わる重要なもの📕
“保育所保育指針”のお話です🤗

今回は、
第1章 総則
 3:保育の計画及び評価
 (1)全体的な計画の作成
 (2)指導計画の作成
 (3)指導計画の展開
 (4)保育内容等の評価
 (5)評価を踏まえた計画の改善

について
大きく5つのポイントにまとめて
お話ししていきます。

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保育の計画及び評価

まず、保育所保育指針(以下、保育指針)ではどのように記載されているかをご紹介します。
記載されている項目は5つです。
🤫(ぶっちゃけ長いです。)

3 保育の計画及び評価

(1) 全体的な計画の作成

 保育所は、1の(2)に示した保育の目標を達成するために、各保育所の保育の方針や目標に基づき、子どもの発達過程を踏まえて、保育の内容が組織的・計画的に構成され、保育所の生活の全体を通して、総合的に展開されるよう、全体的な計画を作成しなければならない。

 全体的な計画は、子どもや家庭の状況、地域の実態、保育時間などを考慮し、子どもの育ちに関する長期的見通しをもって適切に作成されなければならない。

 全体的な計画は、保育所保育の全体像を包括的に示すものとし、これに基づく指導計画、保健計画、食育計画等を通じて、各保育所が創意工夫して保育できるよう、作成されなければならない。

(2)指導計画の作成

 保育所は、全体的な計画に基づき、具体的な保育が適切に展開されるよう、子どもの生活や発達を見通した長期的な指導計画と、それに関連しながら、より具体的な子どもの日々の生活に即した短期的な指導計画を作成しなければならない。

 指導計画の作成に当たっては、第2章及びその他の関連する章に示された事項のほか、子ども一人一人の発達過程や状況を十分に踏まえるとともに、次の事項に留意しなければならない。
(ア)3歳未満児については、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること。 
(イ) 3歳以上児については、個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること。
(ウ) 異年齢で構成される組やグループでの保育においては、一人一人の子どもの生活や経験、発達過程などを把握し、適切な援助や環境構成ができるよう配慮すること。

 指導計画においては、保育所の生活における子どもの発達過程を見通し、生活の連続性、季節の変化などを考慮し、子どもの実態に即した具体的なねらい及び内容を設定すること。また、具体的なねらいが達成されるよう、子どもの生活する姿や発想を大切にして適切な環境を構成し、子どもが主体的に活動できるようにすること。

 一日の生活のリズムや在園時間が異なる子どもが共に過ごすことを踏まえ、活動と休息、緊張感と解放感等の調和を図るよう配慮すること。

オ 午睡は生活のリズムを構成する重要な要素であり、安心して眠ることのできる安全な睡眠環境を確保するとともに、在園時間が異なることや、睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること。

カ 長時間にわたる保育については、子どもの発達過程、生活のリズム及び心身の状態に十分配慮して、保育の内容や方法、職員の協力体制、家庭との連携などを指導計画に位置付けること。

キ 障害のある子どもの保育については、一人一人の子どもの発達過程や障害の状態を把握し、適切な環境の下で、障害のある子どもが他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう、指導計画の中に位置付けること。また、子どもの状況に応じた保育を実施する観点から、家庭や関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成するなど適切な対応を図ること。

(3)指導計画の展開

指導計画に基づく保育の実施に当たっては、次の事項に留意しなければならない。
 施設長保育士など、全職員による適切な役割分担と協力体制を整えること。

 子どもが行う具体的な活動は、生活の中で様々に変化することに留意して、子どもが望ましい方向に向かって自ら活動を展開できるよう必要な援助を行うこと。

 子どもの主体的な活動を促すためには、保育士等が多様な関わりをもつことが重要であることを踏まえ、子どもの情緒の安定や発達に必要な豊かな体験が得られるよう援助すること。

 保育士等は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化などに即して保育の過程を記録するとともに、これらを踏まえ、指導計画に基づく保育の内容の見直しを行い、改善を図ること。

(4) 保育内容等の評価

 保育士等の自己評価
(ア) 保育士等は、保育の計画や保育の記録を通して、自らの保育実践を振り返り、自己評価することを通して、その専門性の向上や保育実践の改善に努めなければならない。
(イ) 保育士等による自己評価に当たっては、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること。
(ウ) 保育士等は、自己評価における自らの保育実践の振り返りや職員相互の話し合い等を通じて、専門性の向上及び保育の質の向上のための課題を明確にするとともに、保育所全体の保育の内容に関する認識を深めること。

イ 保育所の自己評価
(ア) 保育所は、保育の質の向上を図るため、保育の計画の展開や保育士等の自己評価を踏まえ、当該保育所の保育の内容等について、自ら評価を行い、その結果を公表するよう努めなければならない。
(イ) 保育所が自己評価を行うに当たっては、地域の実情や保育所の実態に即して、適切に評価の観点や項目等を設定し、全職員による共通理解をもって取り組むよう留意すること。
(ウ) 設備運営基準第36条の趣旨を踏まえ、保育の内容等の評価に関し、保護者及び地域住民等の意見を聴くことが望ましいこと。

(5) 評価を踏まえた計画の改善

 保育所は、評価の結果を踏まえ、当該保育所の保育の内容等の改善を図ること。
 保育の計画に基づく保育、保育の内容の評価及びこれに基づく改善という一連の取組により、 保育の質の向上が図られるよう、全職員が共通理解をもって取り組むことに留意すること

『保育の計画』には、
保育園全体で作る全体的な計画
子どもの発達に合わせた具体的な指導計画
その両方が必要になってきます。

また、計画を実施していく中で、
保育士の自己評価と、
保育園の自己評価を行い、
それらの評価を踏まえて
保育計画の改善
が求められています。
🤔「こう保育した方が、子どもは力を発揮しやすいんじゃない?」
を保育士としても保育園としても、
常に改善する視点を持ち続けるということですね。

そして重要な点として、
💡評価は子どもの評価ではないことが明確ですね😄

3歳未満児では
『個別的な計画を作成すること』
とされていますが、
あくまで 評価する対象は、保育士であり保育園 です。
子どもが「~できた」「~できるように」ではなく、
その子の力が発揮できる援助や環境の振り返りです。
気をつけていきましょう。

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全体的な計画の作成

「全体的な計画」は、
かつて「保育課程」と呼称されていたものです。
保育所(園)・幼稚園・幼保連携型認定こども園で共通に、
園の包括的な基本方針を示す文書
「全体的な計画」と呼ぶことになりました。

「全体的な計画」を作ることは、
園という教育機関として、意識的に、また計画的に
保育を行っていることの証です。

園として掲げる目標や
目指す子どもの姿
育みたい資質
身につけて欲しい力など

0〜6歳の発達に沿った計画を立て、
評価の水準や方法なども
明確に記載していきます。

保育士個人の保育観で保育をしていては
子どもたちに提供する保育の質に
バラツキが出てしまいますよね?

子どもにとっての最善の利益
保育園全体で共有できるよう、
また保護者にも理解してもらえるよう、
明文化することが重要なのです。

「全体的な計画」を立てる上で大切なのは、
“長期的な視野”👀を持つことです。

保育園生活の中で
子どもたちにどう育ってもらいたいのか
そのためには、それぞれの年齢・月齢でどういう体験をし
また、保育士はどのような保育環境を整えていくのかを考えます。

入園する時期はそれぞれ違っても、
卒園するまでに、ひとりひとりが成長していく「過程」を、
「全体的な計画」に織り込んでいくことが大事です。

そうして作られた「全体的な計画」に基づいて
「指導計画」「保健計画」「食育計画」などが作成されます。
園のある社会的な環境、子どもたちの家庭状況、生活時間の違いなども考慮して、
保育園のアイデンティティを反映した「全体的な計画」を立てることが求められます。

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指導計画の作成と展開

「全体的な計画」をベースに、
「年間指導計画」
「月案」「週案」「日案」「個別計画」など、
より具体的で実践的な指導計画を立てていきます

子どもや集団に応じた計画への配慮も必要です。

[3歳未満児]
心身・運動の発達や言葉、生活リズム・習慣の獲得など、
変化の著しい時期です。
月齢差や個人差も大きいため、個別の計画が必要です。
友だちとの関係性も現れてくる1・2歳児には、
小集団や大集団を意識した計画も求められます。

[3歳以上児]
クラスとしての指導計画が柱となります。
子ども個々の育ちを保障することはもちろん、
集団で活動する楽しさや、共同的に過ごす体験を大切にし、
多様な経験を得られるような計画の工夫が重要です。

[異年齢保育]
異年齢ならではの関わりが持てるよう、環境や保育を考えます。
年齢で線引きするのではなく、
子どもの経験や発達過程を丁寧に見据えた計画を立てることが大事です。

私の勤め先の環境でいえば、
集団は年齢毎の編成になります。
異年齢児との関わりは想定していますが、
それは月案の中に盛り込む形です。
それぞれの園の保育に合わせて、
計画のスタイルも適切に変化させていくことが大事ですね。

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計画を立てるときに意識したいこと

子どもの発達には、年齢・月齢に応じた特徴があります
計画は、子どもの発達に応じて立てていきますよね。

ただ、同学齢の子どもたちであっても、
4月生れの子と3月生まれの子とでは、
おおよそ1歳の差があります

また、同じ一日を過ごすにしても、
朝7時に登園してくる子もいれば、
10時近くに登園してくる子もいます。
クラスとして活動するまでに、3時間もギャップがあります。

一日全体を通して見れば、
最長13時間を保育園で過ごす子もいれば、
6時間を保育園で過ごす子もいます。
同じクラス内であっても、生活リズムがまったく異なるのです。

こういった諸条件を考慮せずに指導計画を作成したら?
当然、子どもに無理のある設計になってしまいますよね。

ですから、子どもたちそれぞれの発達や
生活、家庭環境を考慮した上で、
個人の集合としての集団を意識することが重要です。

簡単にですが、
計画を立てる上で意識したいポイントを挙げていきます。

《発達過程》
子ども一人一人の発達状況を観察し、
その時の意欲や心情などを理解して、
保育の狙いや内容を考えていきます。

《季節》
子どもが、季節の変化や自然に気付き、様々な体験ができるよう
活動を展開していきます。

《主体性》
子どもの主体性を保障できるよう、
保育環境を整え、また適切に関わっていきます。

《生活リズム》
子ども一人一人の生活リズムを把握して、
動と静の活動のバランスを考慮し、
また休息が取れる空間・時間を保障します。

《午睡》
安全で安心して眠れる環境を整え、
一人一人に必要な午睡が取れるようにします。
つまり、一律に午睡することのないよう配慮が必要です。

《保育時間》
個々の保育時間に応じて、心身の状態に配慮していきます。
また、家庭との連携、保育者間の協力を構築していきます。

《要支援児》
家庭や関係機関との連携を取りながら支援を行うために、
個別計画を作成します。

その他にも、
・計画は日々の状況に応じて柔軟に運用すること
・保育園の全職員で連携、役割分担をすること
・家庭や地域との連携すること
・保育の記録と見直し・改善していくこと
なども配慮して計画を立てていきます。

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保育内容等の評価と改善

「全体的な計画」という道筋の上に、
「指導計画」を展開し、
実際に行われた保育を
「記録」「振り返り」「定期的な評価」「改善」
していくことを、
カリキュラム・マネジメントといいます。
計画を立てたら立てっぱなしになっていませんか?😜
いわゆる【PDCAサイクル】で考えることが通例になっていますね。

ところで、「保育を評価する」というのは、
どういった作業なのでしょうか。
保育指針に記載されているのは、
「保育士等の自己評価」
「保育所の自己評価」となっています。
指導計画の振り返りをする際に、
「子どもの評価」をしていませんか?
保育の主役は子どもたちですが、
保育を運営しているのは保育士であり、
それを束ねているのは保育園です。
評価の対象は、保育者と保育所ということは常に意識しましょう

《保育士等の自己評価》
保育士の自己評価なんて聞くと、ドッキッとしてしまいますよね💔
ただ、そこは冷静に、客観的に保育を振り返りましょう。
まず、計画した活動が子どもの育ちに繋がっていたのかの確認です。
また活動の中での関わり方、言葉は子どもにとって有意義なものだったか。
日々の振り返りと、関係者の話し合いなどを通じて、
保育の効果的な点と課題の点を把握し、
その後の保育に活かしていくことを目指します。

《保育所の自己評価》
保育士の自己評価は、保育園の自己評価ともリンクします。
「全体の計画」の上に、
各クラス(集団)の指導計画が立案されているわけですからね。
仮に、保育士の自己評価が芳しくない場合は、
そもそもの「全体の評価」に大きな課題がある
ことが考えられます。
保育園としての目標や、育って欲しい子ども像が、
現実の保育と乖離していないか、
定期的な確認と見直し・改善が必要なのです。
また、保護者や地域など、
保育園と関係する人たちの意見に耳を傾け、
社会的資源としてその結果を公にすることも大事です。

《カリキュラムマネジメント》

画像
沢渡あまね©「職場の問題地図」

沢渡あまねさん、資料の提供ありがとうございます🙏

これは、【仕事を構成する5つの要素】を表したものです。
私はこの図を意識して保育を構成しています。

1.目的
 何のためにその保育をするのか
2.インプット
 何を使ってその保育をするのか
 遊び、運動、教材、場所、時間、人材など
3.成果物
 その保育を通して、子どもは何を得られるか
 物的、体験的、情緒的、経験値など
4.関係者
 誰がその保育に関わるか
 どの子が真っ先に活動しそうか、または苦手意識を持ちそうかなど
5.効率
 子どもに個々に合った速さ、回数、誘うタイミングなど
 クラスとしての、適度な早さ、時間、展開するタイミングなど

この【仕事を構成する5つの要素】を事前に検討しておいた上で、
実際に保育した際にどの要素が
どれだけズレたのか(+にも-にも)を考察します。

例えば、
時間外勤務して保育準備をしたならば、
それは子どもの能力に対して大人の支援が多く必要な状態
=子どもの発達に見合っていない活動を計画した

ということです。
子どもの発達に見合った活動なのであれば、
子ども自身で保育を展開できるはずですからね。

その、子どもの実際と保育士の計画の差を小さくしていくことが、
カリキュラム・マネジメントになると思います。
場合によっては、年間指導計画を書き換えることも、
当然に選択肢として入ってきます。
重要なのは、子どもの発達に貢献する計画を立案、実行することですからね。

指導計画を立てるというのは、年度の初めの作業になります。
担任を持って日も浅い中で、
一年後の子どもたちの姿を想定して計画を立てるというのは、
なかなかにハードな仕事ですよね。

ただ、年間計画を立てるのは、
その前の年度末以前に始まっていると思っています。

私の感覚としては、
保育士は担任クラスだけでなく、
保育園に通ってくる園児と保護者の全員をみるのが、
自分の仕事だと考えています

保育指針の中にも、《保育所の自己評価》がありますが、
保育所を構成するのは保育士です。
いつ、どのクラスを担任しても良いくらいに、
平時からいろいろな子たちと関わり、その発達を理解しているから、
“プロ”を名乗れるのではないでしょうか。

「保育士は誰にでもできる」のか
「保育士はプロフェッショナル」なのか
あなたは、どちらの仕事をしたいと願いますか?
あなたが保護者なら、どちらの保育士にお子さんを預けたいですか?

保育は、保育園というチーム全体で取り組む物です。
そういう意識で、自分の責任と、チームの責任を振り返りながら
保育を楽しく展開できるように、
保育の計画を振り返ってみていただけたらと思います。

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