【Q:子育てテクニック動画をどう思いますか?】

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みんなのQ&A

こんにゃちは🐈、猫月だんくるおすてうすです。

こんな質問をいただきました。

子育てテクニックを紹介する動画がありますが、
大人の思うように子どもを操作するようで、好きになれません。
子育てテクニック動画についてどう思われますか?

子育てテクニック動画で、人気のあるクリエイターさんも増えていますね。
それだけ、需要の高まっているジャンルと言えるのかも知れません。
需要があるということは、
保育士が保護者に届けるチャンスでもあると、私は思っています。

今回は、子育てテクニックについて、
私が考えていることをお話ししていきます。

▶︎子育てテクニックの危険性

まず、「子育てテクニック」とは、
どういう性質を持っているのかについて
行動分析学者の奥田健次先生の言葉を引用させていただきます。

企画が持ち上がった際、ひとつ大きな心配事がありました。
それは「自分でもやってみようとする人がいること」です。
私は常々、
「行動の原理を応用したアプローチは、大変な切れ味を持つ刃物のようなもの」
と申し上げてきました。
それにもかかわらず、
本を読んだだけ、テレビで少し見ただけで
真似ができると思い込んで、
実際に真似をしてしまう人がいるという現実があります。
(中略)
外科手術のマンガやドキュメントを見ても、
自分が(外科医でもないのに)それを自分の子どもに真似してみよう
とする人はほとんどいないはずです。
ところが、教育や心理的アプローチについては真似しようとする人が多いのは、
一体どういうことなのでしょうか。
少なくとも、私が提供している行動の原理のアプローチは、
外科手術のようなものと自覚しています。
たいへんな緊張感と危機意識をもって、
ときには大胆に、しかし常に慎重に、
親子の変化を見極めながら提供するプログラムをオーダーメイドで作っています。
(中略)
どうしても必要な場合は、
これらの技術を専門家の下で見せてもらって
手ほどきを受けてからにして下さい。
このマンガを見て、真似するようなことは
絶対におやめいただきたいのです。

『マンガ版 拝啓、アスペルガー先生』©️奥田健次/飛鳥新社 あとがきより

子育てで大変な思いをしている、困っている保護者が多くいるのは承知しています。
私も、保護者の悩みを解決したいと考えている保育士の一人です。

ただ、動画やブログなどで「子育てテクニック」を発信するのは危険だと考えています。
保育のスキルにしても、
保育士には子どもの発達・成長や段階、見守りの専門性があること
を前提にお話ししています。
「○○すれば、子どもが□□するようになります♪」という発信は、
「メスで○○を切れば、病気が治る!」と一般人に勧めるようなものなのです。

安易に子育てテクニックを勧める動画やブログは、
信頼できる情報でしょうか?
教育、心理的アプローチは、“子どもの心”にメスを入れる行為です。
もしかしたら、心に大きく深い傷をつけている可能性がある

あなたは、動画を見ただけで、お子さんにメスを向けますか?

その危険性を、承知しておいていただきたいのです。

▶︎“悩みの根っこ”はどこにある?

保護者から子育ての悩みを相談されることはよくあります。
「好き嫌いが多くて心配です😰」
「トイレに行くのを嫌がるんです😓」
「夜、なかなか寝てくれなくて…😭」
などなど、ひとつの悩みが解消しても、
また別の悩みが出てくるのが子育てですよね。

ところで、その“悩みの根っこ”はどこにあると思いますか?

心理学者のアルフレート・アドラーによれば、
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」
だそうです。
子育て、保育での悩みも思い返してみてください。

あなたは、何に悩んでいるのですか?

好き嫌いが多くて心配なのは、
「私が、好き嫌いせず食べて欲しいと思うから」
トイレに嫌がらず行って欲しいのは、
「私が、トイレで排泄できるようになって欲しいから」
夜、早く寝て欲しいのは、
「私が、自分の時間が欲しいから」
なのではありませんか?

それは“子育ての悩み”なのではなく、
“私の思い通りに行動してくれない”苛立ちなのではありませんか?

厳しいことは申しますと、
大人の都合に子どもを合わせようとするから、無理が生じているんです
“子育てテクニック”には、
「子どもの成長より、大人の都合を優先している」可能性もあるのです。
その時はうまくやり過ごせても、
子ども自身の成長を妨げているとしたら?
それは、後々に大きなしっぺ返しが起こるでしょう。
本来はその時期に成長する才能を、あえて埋めてしまっているわけですから。

安易なテクニックを求めるよりも、
お子さんの成長段階や、今はどんな発達の時期なのかを理解する方が、
お子さんのためでもあり、親御さん自身のためにもなると思いますよ。

▶︎子どもを見つめて、共感して

「じゃぁ、どうしたら良いのよー?!😭」

ってなりますよね。
奥田先生も仰っていましたが、
専門的な「テクニック」を真似せさようとする動画やブログが問題なのです。

「今からオペしまーす。これやれば、すぐ治りますから。やってみてください😄」

情報には気を付けてね、って話です。

まず、子育てが簡単なわけがないです。
子育ては、人を育てるのだから大変に決まっています
ましてや、保護者は親業初心者です
若葉マークでレースに臨もうとしないでください💦
そんなに焦らなくて良いんです。

保護者から、子育ての不安や相談を受けた際、
私がまずお話しするのは、お子さんの成長・発達です。
大事なのは、5W1H

What:何に興味があるのか
Why:なぜ、それに興味があるのか
Who:誰と過ごしているか
When:その姿はいつ見られるのか
Where:その姿はどこで見られるのか
How:どんな方法(工夫)をしているか

これらが分かると、お子さんの特性が掴めてきます。
特性は、例えるならエンジンです。
長く走るのが得意
加速が得意
馬力が強い
安定して走れる
など、エンジンと言っても個性があります。
お子さんが、どんな場面でより個性を発揮するのか。
それが分かると、
「ここでは思い切り力を発揮させよう」とか
「ここはちょっとアシストしよう」とか
大人の対応も分かってきます。

悩みが多くなる時期は、いわゆる「イヤイヤ期」になるかと思います。

「イヤイヤ期」は、自我が芽生える時期です。
自我の芽生えとは、「自分も大人と同じ事ができる(はず)😊」という
一人前の階段を登り始める時期です。
「大人と同じ事をやりたい」
「大人と同じ事ができなくて悔しい」
「自分で決めたい(誰かに指示されたくない)」
気持ちは一人前😤
でも経験と身体はそれについていかない…😨
そういう葛藤の渦にいる時期です。

大人でも経験あるんじゃないですか?
仕事が思った通りに進行しない
その日に終わらせたかった仕事をこなせない
乗りたかった電車に乗れない
大なり小なり「思い通りに行かなくてイラッとする」は、毎日あると思います。

「イヤイヤ期」の子は、思い通りに行かないの葛藤に加えて、
自分のエンジンの扱い方が分からない、も加わります。
「自分でやる!」という意欲は満々ですが、
その分だけアクセルは常に全開です😅
自分で自分を制御できないのです。
だから出てくる言葉は「イヤー!!😭💢」

そんなエネルギーが暴走している我が子を、正面から相手にするのは大変です💦
まず、鎮める必要があるのです。
👩「○○したかったのかな?」
👦「イヤー!(したかったの!)」
👩「○○できなくて残念だったね」
👦「イヤー!(できなくて悲しいの!)」
👩「手伝ってあげようか?」
👦「イヤー!(手伝って欲しい!)」
(こんな単純にはいかないでしょうが…😓)
確認と、共感で、子どもが自分の心の葛藤を理解できるように関わる。
でもそのためには、子どもの今の5W1Hが分かっていないと、掛ける言葉が見つかりませんよね。

(裏を返すと、
 お子さんの5W1Hを知らない人の言う「子育てテクニック」は、
 多くの確率でお子さんに合うわけが無いと思います。)

まずはお子さんを見つめて欲しいですし、
そのための目を増やして欲しいです。
ご夫婦で見れば、目は4つになります。
幼稚園や保育園の担任の目もあれば、更に増えます。
「一人で抱え込まない」「育児はチームで取り組む」が、
子育ての悩みを解決する、大事な方法だと思います。

▶︎保護者のニーズはSOS

保育士に向けても、お話しさせていただきます。

「子育てテクニック」を発信するクリエイターに対して、
『あれは、保育者とは呼べないと思います😡』
『自分と一緒にして欲しくない💢』
といった意見をいただくことがあります。
私も好きか嫌いかで言えば、
正直なところ『好ましくないかなぁ😓』とは感じています。

ただ一方で、
彼らの発信が多く視聴されている
それらの発信に頼っている保護者がいる

というのは事実です。
それだけ「子育てに困っている」保護者がいるのです。
バズっている動画やブログがあるのだとしたら、
それは、保護者のSOSです。

保育士としてできることは、
発信者に敵意を向けることではなく、
そういう動画やブログをビーコン(灯台)にして、
保護者の困り事に寄り添うことではないでしょうか?

クリエイターの中には、多くのフォロワーを抱えた発信力の強い人もいます。
そういうクリエイターが、
発達の原理を無視した「子育てテクニック」を紹介している場合もあります。

ただ、それを非難していても、
子どもや保護者にも寄り添えませんし、
自身の保育士としての成長にも繋がりません。

心から子どもや保護者を思うのであれば、
そのエネルギーを費やすのは、
保育士としての研鑽であったり、
毎日一緒に過ごしている子どもたちや、
顔を合わせる保護者に向ける方が、
生産的だと思うのです。

残念ながら、
私は身体が一つしかありませんし、
手は二本しかありません。
できることが限られているのです。
ただし、目の前にいる子どもと保護者との伴走には、
いささか自負がありますよ?😄
その日、その時の子ども、保護者と寄り添えるのは、
一緒にいる保育士だと思ってますからね✌

歯痒い思いをすることがあるかも知れませんが、
「では、どうするか?」を考えてもらえたらな、と思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「子育てテクニック」動画にどんな感想を持つかは、
個人によって異なるでしょう。
ただ、それを「是か🙆非か🙅」としてしまうと、
二分論で終わってしまうなぁ、残念だなぁ、と思います。
どうせならば、
このくらいの毒は平らげるくらい
度量あるプロフェッショナルでいたいなぁ😁
あとは、
「動画よりも、あなたの話が聴きたいです」
と思ってもらえるように努力する、かな?
まずは、自分の職場の子どもたちと保護者に注力して、
それがこのブログでも表現できるようになりたいと思います!

👇匿名質問箱👇

匿名で聞けちゃう!【子育★Bar】さんの質問箱です
子育てや保育などを中心に、楽しかったことや自慢話、質問や相談を受け付けています。 詳しい回答が欲しい方は、Blogで回答しますので【Blog希望】と付けてくださると嬉しいです♬

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