絵本の語り場 ~絵本は、ええ本~“4歳児向け×春”

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たのしい絵本

こんにゃちは、猫月だんくるおすてうすです。

今回も、酒井沙弥香さんとの共同企画
絵本の語り場 ~絵本は、ええ本~で紹介した
絵本のレビューを寄せたいと思います。

【絵本の語り場 ~絵本は、ええ本~】は、
みんなで絵本についてワイワイ喋ろう!というものです。
毎月一回、
テーマに沿った絵本を持ち寄って
その絵本の魅力
選んだ基準
どんな読み方・提供の仕方をするのか

といったことを楽しむ時間にしてきました。

ということで、
第6回 絵本の語り場
で私が紹介した絵本は、こちらです。

「春」
作・絵:五味太郎
版:絵本館

あらすじ

春。まどのそとを……。

まどのそとを・・・・・

あらすじが一言で終わってしまいました(笑)

この絵本は、
左頁に言葉が書かれ、
右頁に窓から覗く景色が描かれた、
見開き構成で表現されています。

「まどのそとを・・・・・」がくり返され、
窓から見えた物の事実だけで描かれています

どこにも、”春”という言葉は出てきませんが、
それだけに気付きを得ることで
よりぐっとを感じられる絵本だと思います。

五味太郎ギミック

私は、五味太郎さんの作品は、
魔法が鏤められていると思っています。

例えば、この絵本で言うと、
「まどのそとを・・・・・」
でその頁の文を流し、
頁をめくることで
「ちょうちょが とおる」
と初めて完結するのです。

文章が頁を跨ぐことで、
宝箱の蓋を開くように
次の頁をめくる楽しさがあります。
宝箱が続く楽しさが、
子どもたちの好奇心をくすぐりますね。

”起””承”のくり返しでずっと構成されるこの作品
最後の文言は「へやのなかには」で調し、
頁をめくると「だあれも いない。」とばれます。

なぜ、部屋には誰もいないのでしょう?
それはどこにも書かれていませんが、
最後の画は読む人の頭の中に描かれるのです。

もうひとつ、
にもギミックがひそんでいます。
窓から見える景色の色に、
魔法が掛けられているのです。

表紙の色調は、
「春」というタイトルの割には、どんよりとしています。
窓から覗く室内はねずみ色で、
庭木は葉一枚もない枯れ木です。
それが、頁を一枚めくる度に変化していきます
言葉では何も表現されていませんが、
目で景色の変化を、
春の訪れを感じられるようにされているのです。

そして、裏表紙。
絵本は裏表紙まで見ることで、はじめて絵本を読んだ
と言えますが、
この絵本の裏表紙には、
一本の枯れ木と、三つの新芽が描かれています
確実に、春はそこまで来ているんだよ、
と無言で知らせてくれているのです。

4歳向け✕春…4歳向け✕春……

一口に「4歳児向け✕春」と言いますが、
4歳児(年中児)の春って、
いつのことを指しますか?😅

日本でいうと、春は節目の時期でもあって、
4月に年長へ進級する4歳児と、
4月に年少から進級した4歳児では、
まったく違う春なのです。

3月も4月も、季節の上では春でしょう🌸
でも、
年度当初に読む絵本と、
年度末に読む絵本は、
まるで違うわけです。
そこには、おおよそ1年の成長があるわけで、
子どもにとっての1年間というのは
とてもとても大きな時間です。

これは、とても悩みました……。

今回の絵本は、3月の4歳児に春を感じてもらうことを想定しました。

なので、タイトルも漢字の”春”のこの絵本です。
春は生き物も変化や成長が著しい時期なので、
かがく絵本的な作品も子どもたちには読んでもらいたい…
でも、年長を目前にした子どもたちなら、
五感をフルに使って春を感じることも大事にしたい。

ま、どちらも大事ですし、どんな絵本も提供していくんですけどね😄

あえて1冊を選ぶなら…この絵本でした。

あなたなら、子どもたちにどんな絵本でを感じてもらいますか?

4歳児向け×春の絵本(候補)

「ピンクとスノーじいさん」
ヤマメのピンクには初めての冬
食べるものも少なく、ヤマメはイワナに狙われる立場です
イワナのスノーじいさんはヤマメを食べる存在ですが、
春まので厳しさを教えてもくれます。
ピンクは、無事に春を迎えることができるのでしょうか。

「ふゆめ がっしょうだん」
春を待つ、木の芽たち。
個性的な顔をした木の芽たちが、春の歌を唄います。
散歩先で”ふゆめ”の顔を見つけたら、
春はもうすぐそこまで来ているのかもしれません。

「はるのゆきだるま」
春を知らない山の雪だるま。
森の動物たちから春の話を聞いて、
すてきな春を思い描いて楽しみにしています。
動物たちは、ゆきだるまへ春のお土産を届けると約束するのですが・・・。

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