どうしてこんなことに──仕事が属人化する…

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どうして仕事は属人化するのか。 誰でもできる仕事にするための考え方を解説する保育士向け記事のアイキャッチ画像 仕事をラクにしよう

こんにゃちは、猫月です😺

レツキ
レツキ

今年は、畑のさつまいも
あまり収穫できませんでしたね…
肥料が足りなかったかな?

キツキ
キツキ

肥料ってどれくらいが適量なのかなー?
昨年までは、農家出身の先輩がいましたからね
全部お任せしていれば、うまくいったのに

猫月
猫月

待って待って待って…
それ、ちょっと危ない話になってるよー
みんなも一緒に栽培してたんでしょ?
それ、仕事が“属人化”状態になってるんだ

「その仕事、〇〇さんしかわからないんだよね……」
「私がいないと仕事が止まるから、休めない……!」
「私がやった方が早いので、引き受けます」

職場で、
こんな言葉を耳にすることありませんか
もしかしたら、
口にしたことがある人もいるかもしれません

特定の人に依存することを
「属人化」と言います

たとえば──
卒園式のピアノ伴奏を毎年弾いてる先生
パソコンで問題があると呼ばれる先生

多かれ少なかれ、
どの職場にも存在する
日本社会共通の問題と言って良いでしょう

結論から言うと、
属人化はなくなりません
だって、人間だもの

なくならないのだから、
うまく付き合う方法を考えましょう!現実的に

まず、属人化が起こるメカニズムを考えてみましょう

こういうときは、
沢渡あまねさんの著書を頼りにしましょう!

どうやら日本人は、
「脱属人化」や「マニュアル化」を
避けたがるようです

ベテランほど、
その傾向が強いと言えるでしょう
そして、時にベテランは
自分のしてきた仕事をマニュアル化されることに
激しく抵抗します

でも、この反応
実は、とても人間らしく、
至極もっともなものでもあるのです

それを理解するため、少し心理学の話をします
人間には、3つの「認められたい欲求」があると言われています

①結果承認欲求─
自分の行動結果を他人に認めてもらいたい欲求です
例:「この間の司会、保護者に受けが良かったね。上手だよね」

②行動(プロセス)承認欲求─
自分の行動そのものを褒めてもらいたい欲求です
例:「卒園式の装飾作り、大変だったでしょう?ありがとうね!」

③存在承認欲求─
自分の存在そのものを認めてもらいたい欲求です
例:「あなたがいると、職場が明るくなるよね!」

さあ、ここで考えてみましょう
脱属人化やマニュアル化に抵抗する人たち
彼らは属人化した仕事、
自分にしかない(と思っている)独自の知識やノウハウに、
自分の存在意義を感じているのではないでしょうか

属人的な部分こそが自分の存在意義であり、
改善されたら存在承認されなくなる
そんな恐怖感があるのかも知れません

とはいえ、
若手にも「自分の保育」を
探している保育士もいます

特別な存在でありたいのは、
年齢を問わず持っている感覚なのですね

人間の承認欲求を無視して、
無理に脱属人化を推し進めようとしても、
うまくいきません

正論で業務を変えようとしても、
ベテランはノウハウを出してくれないですし、
人間関係にも禍根を残すでしょう

では、どうしたら良いか?

承認欲求を別の形でくすぐりながら、
ノウハウを引き出すのです

たとえば──
・脱属人&マニュアル化の取り組みそのものを評価する
・ノウハウや知識の公開、共有を評価する
・その人に、育成者としてのポジションを与える
など「さすが!先生に相談して良かった!!」と承認して、
ノウハウを提供することが自尊となるようにするのです

世の中には2つの属人化があります
「良い属人化」と「悪い属人化」です

「属人化」と一括りにせずに、
まずは良し悪しを見極めて、
付き合い方を考えましょう

次のビールの絵を見てください

これは仕事を2つの要素に分解したイメージです
🟨下:「あたりまえ部分」
=チームとして
 最低限やらなければならない仕事
それに対して、
☁️上:「付加価値部分」
=やってくれたら嬉しい仕事
 「あたりまえ部分」の品質や
 業務スピードを上げる取り組み

あたりまえ部分の仕事は、
〝その人〟でなくても
チームとして回せている

一方で、
付加価値部分は
あったら嬉しいけれど、
なくても仕事自体は止まらない

そんな状態を、
ここでは「良い属人化」と呼びます

あたりまえ部分の仕事が、
特定の人にしかできなくなっている状態

その人が休むと、
仕事が止まる
周囲がフォローできない

これは、
チームとしては
少し危険な属人化です

保護者からの問い合わせに応対することは、
「あたりまえ部分」に当たります
これは、職員の全員ができなくてはなりません

一方、ベテランのA先生は
問い合わせに応対するだけでなく、
保護者の表情から心情を察したり、
雑談などを交えたりして、
気持ち良く仕事へ送り出すことができます

これは、良い属人化・悪い属人化
どちらだと思いますか?

これは「付加価値部分」です

Aさんにしかできなくても、
チームとしては困りません
なので「良い属人化」と言えるでしょう

もちろん、
チームの価値や
利用者の満足度を高めていくためには、
・付加価値部分の
 知識やノウハウを少しずつ共有する
・あたりまえ部分の
 レベルアップに挑戦する
こうした取り組みは重要です

でも、
最初から全部を
均一にしようとしなくて大丈夫

まずは、
「あたりまえ部分」が
属人化していないかどうか

そこを見直すだけでも、
職場はずっと回りやすくなります

では、「悪い属人化」を
少しでも「良い属人化」へ持っていくには、
どうしたら良いでしょうか?

いきなり
「脱属人化しよう!」
と気合を入れる必要はありません
まずは、
仕事を整理するところから始めましょう

使うのは、
「仕事の優先度」と
「属人化の度合」という2つの軸です

この2軸で、
次のような視点から考えていきます
・脱属人化ができそうか?
・難しいとしたら、せめて仕事の優先度を下げられないか?
 (属人化していても止むを得ない状態にしたい)

こうして各業務を評価し、
その結果を次の
【優先度・属人化マトリクス】に
当てはめていきます

ゾーン1(優先度:高/属人度:高)
最も負担が大きく、
危険度の高い領域です
脱属人化が難しい場合は、
人員増強や役割分担などで補いつつ、
・優先度を下げられないか
・属人度を下げられないか
を検討し、
ゾーン2かゾーン3へ
移せないかを考えます

ゾーン2(優先度:低/属人度:高)
属人度は高いものの、
今すぐ止まるわけではない仕事
この領域は、
ある程度の属人化を許容しつつ、
・対応期限に余裕を持たせる
・「その人がいるときにやる」仕事にする
といった整理が現実的です
また、
上司・関係者・保護者など、
利害関係者への説明と
理解を得る努力も大切になります

ゾーン3(優先度:高/属人度:低)
この領域は、
改善のしがいがある仕事です
・標準化
・マニュアル化
・手順の簡略化
を進めることで、
チーム全体の負担を
ぐっと減らすことができます

ゾーン4(優先度:低/属人度:低)
ここは、見直し候補の宝庫
そもそも、本当に必要な仕事なのか
「やらなくても困らない仕事」が
紛れ込んでいないか
思い切って
廃止する
という選択肢も、
ぜひ検討してみてください

属人化は、
完全になくすことはできません
でも、軽くすることはできます

まずは、
現行業務を洗い出し、
マトリクスに当てはめて、
チーム全員で眺めてみてください

そして、
「どこまでを許容するか」
「どこからを減らすか」
属人化との向き合い方のスタンスを
チームで決めていきましょう

人事異動のある3月──
卒園式や新年度準備も重なって、
とにかく慌ただしい時期ですよね

限られた時間の中で、
業務のバトンを受け取らなければなりません

「○○先生の仕事、引き継いでもらえる?」

……仕方ないなぁ
ま、ひとまず引き継ぎを受けて、
年度が明けて落ち着いたら、
ゆっくり考えればいいか

――と、ちょっと待った!

ここで
「前年通りで」
「今までと同じで」
と、なんとなく引き継いでしまうと、
あとで確実に痛い目を見ます

業務の引き継ぎは
前任者からの口頭説明のみで
行われているのではないでしょうか

もし、
前任者の仕事が属人的だったとしたら──

その業務は、
前任者の経験と感覚と、
ちょっとした“こだわり”で
成り立っていた仕事です

それをそのまま受け継ぐのは、
「属人化のリレー」をしているだけ
とも言えます

では、どうすればいいのでしょうか

少し気が重いかもしれませんが、
ここは思い切って──
引き継ぎを受けるあなたが、
マニュアルを作ってしまいましょう

やることは、とてもシンプルです
・引き継ぎの説明を、きちんと聞く
・作業の手順を、ノートやメモに書く
・必要に応じて、簡単な図やイラストを添える
それだけで、十分です

立派なマニュアルである必要はありません
「次の人が迷わない」
それだけを目標にしてください

引き継ぎの際、
せっかくの機会ですから、
不要な作業は思い切って見直してみましょう

前任者の
「その人なりの工夫」
「当時は必要だったやり方」
が、そのまま残っているケースは
意外と多いものです

前任者が悪い、という話ではありません
ただ──
何も考えずに踏襲してしまうと、
仕事は少しずつ、
確実に重くなっていきます

たとえば、
元々は1時間で終わっていた仕事が、
担当者が変わるたびに
 「念のため」が足され
  「前からやっているから」が積み重なり
気がつけば、
2時間半かかる仕事になっていた──
なんてことも、珍しくありません

だからこそ、
引き継ぎは“無駄をリセットするチャンス”です
・これは本当に必要?
・今も同じやり方である理由は?
・やらなくても困らない部分はない?
そんな問いを、
一度だけでいいので
立ち止まって考えてみてください

目指したいのは、こんな状態です
「誰でもできるようにしてありますから、
 私じゃなくても大丈夫ですよ」

この一言が言える状態は、
あなたが仕事を整えた証拠です

最後に、もう一度確認しておきましょう!
引き継ぎを受けるときは、
次の2つを意識してください
① ここぞとばかりに、マニュアルを作る
 (口伝のリレーはNG)
② これを機に、不要な作業は手放す

誰でもできる仕事にすることは、
仕事を回る形に整えた人としての、
立派なあなたの業績です

属人化で、
いちばん困るのはいつでしょうか

それは、
その職員が不在になったときです

仕事が止まり、
誰もフォローできず、
周囲が慌てる。

そんな場面、
思い当たる人も多いのではないでしょうか

「子どもが熱を出してしまって……」
「電車の遅延で、午前中は足止めです」
不測の事態は、
いつでも、誰にでも起こります

・台風でも何とか出勤する
・無理をしてでも職場に向かう
それは美徳とは違います
改めるべき価値観です

だからこそ、
普段から考えておきたいのです
「私がいないとき、
 この仕事はどうなるだろう?」

そのために役立つのが、
「仕事の5つの要素」という考え方です
・何のための仕事か(目的)
・何を得る仕事か(成果物)
・何が必要か(インプット)
・誰に協力してもらうか(関係者)
・どうすれば楽になるか(効率)

これらを確認しながら、
仕事の流れや判断基準を
簡単でいいので文書にしておく
それだけで、
仕事はずっと回りやすくなります

自分の仕事がスムーズに進むだけでなく、
あなたがいないときにも、
誰かが仕事を引き継げる

それは、
周囲のためでもあり、
あなた自身を守るためでもあります

属人化を減らすことは、
安心して休めるようになること
誰かに頼れるようになること

それができて初めて、
仕事は長く、健やかに続いていきます

私は、保育の中でも
「自分がいなくても進むこと」を
理想の姿だと考えています

子どもたちが自立し、
大人の手や言葉が
最小限で済むのであれば、
それはとても望ましい状態です

それは、
業務においても同じです

効率的なやり方を見出し、
誰でもできる形で共有できていること

それが、
組織にとって強靭で、
持続性のある仕事の形だと思っています

あなたは、
保育園や子どもに貢献する立場として、
どんなことができそうでしょうか

この記事が、
少し振り返って考えるきっかけになってくれたら、
それだけで十分うれしいです

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