“かわいい”3歳児が、本気でスカパラでスウィングした運動会

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運動会を背景に、「“かわいい”3歳児が、本気でスカパラでスウィングした運動会」とタイトルが書かれている。 みんなのQ&A

こんにゃちは、猫月です😺

質問をいただきました

ナツキ
ナツキ

猫さん…そろそろ運動会の準備、考え始めないとですよね
でも…3歳児って、2歳のときと何を変えれば良いんでしょうか?
かわいさはあるけど、“育ち”ってどう見せればいいのか…悩んでしまって

猫月
猫月

うん、わかるよ。3歳児の運動会って、
“かわいさ”はもちろんあるけど、それだけじゃ、もったいないよね
3歳は、“自分がやりたい”から“みんなで楽しみたい”への一歩目でもあるんだ

2歳児は、自我がぐんと伸びてくる時期
「自分がやりたい!」が真っ盛りだから、
個人の力を最大限に発揮できるように構成していくのがポイントになります

じゃあ、3歳児は?というと──
自我からさらに、友だちとの共感や、場を楽しむ力へと
育ちが広がっていく時期なんです
「みんなで」って気持ちが、芽を出し始めるんですね

今年、私はそんな3歳児たちの“みんなでやってみたい”を形にしてみました
プラス裏テーマは“子ども扱いしない”

「かわいい」だけじゃない、3歳児の運動会
その裏にあった、子どもの表現と、親子で楽しめる関係性づくりの話を、
今日はお話ししていきましょう

2歳児の運動会は、いわば「模倣のステージ」でした
動きはすべて保育士が前に立って、一緒に踊る形
なぜなら、2歳児は「大人と同じことがしたい」真っ盛りだから

 子どもたちは保育士の姿を模倣しながら、
身体を動かす楽しさや、いろいろな動作を知っていく─そんな時期です
見どころは、“一所懸命なかわいさ”
運動会は、それで十分でした

でも、3歳になると、少しずつ様子が変わってきます
自分で「こうしてみたい」と思う気持ちが、動きの中ににじんでくる
日常の遊びの中でも、
急にブリッジをしたり、飛び込み前転をしようとしたり、
「うぉっ?!」と感じさせる動作を自分で試していませんか?
また、遊びの中でお友だちと一緒に考え、表現を“共有”する喜びが育ってくるんです

だから私たちは、運動会でのダンスの振り付けも
保育士が決めるのではなく、子どもたちと一緒に考えることにしました

「こうやってみたい」
「こういうポーズをするとカッコいい」
子どもたちは、これまでに経験してきた動作を組み合わせて、いろいろと踊ってみるものです
ポンポンを自由に使えるようにすると、1時間踊っている子もいます
その場のアドリブなので、再現性はないけれど、
自由に考えながら踊る楽しさがわかってくる時期です

2歳では“模倣”だった動きが、3歳では“自発”に変わっていく──
この育ちの変化に合わせて、運動会の構成も見直す必要があると感じたんです

そして、その年のダンスのきっかけは、
活動の雰囲気づくりの一環として、とある曲をBGMに流していたある日、
ひとりの子が、その音にくるっと反応したことからなんです

活動の雰囲気づくりの一環として、私は普段からBGMを活用していました
着替えや食事の時間には、落ち着けるようにとクラシックを、
遊びの時間には、楽しい雰囲気を感じるボサノバやスカなどを選んで流しています

そんなある日、クラスにいる重度の障害児が、
Tokyo Ska Paradise Orchestraの一曲にふっと反応を示しました
“Paradise Has No Border”🎷が流れるたびに、笑顔を見せるのです

その姿を見て、「この曲なら、この子も意欲的に運動会へ臨めるのでは?」と感じたのです
ただ、ひとりの子のためだけに選曲を決めるのは難しい…
あくまで運動会は、みんなのものですから

そこで、クラス全体でスカパラのライブ映像を“鑑賞”してみることにしました
もちろん、保育の一活動としてです
初めはポカンと眺めていた子どもたちが、
次第に笑顔になり、
気が付けば立ち上がって思い思いに踊っていました

こういう経緯があって、
楽器の演奏ごっこにも自然と繋がっていったんです

子どもたちから「ラッパを吹いてみたい」という声もあがりました
といっても、人数分のラッパなんて用意できるわけもありません
それでも子どもたちの意欲は叶えてあげたいところ…
思案した私は、ラップの芯を持ち出してみました

このラップの芯、元々は“スピードラダー”を作るために集めていたもの
サッカーなどで使われる跳躍用の練習器具です
“跳ぶ”“止まる”“抑える”といった動作を学ぶのに役立てようと用意していたのですが、
「これ、トランペットのマウスピースみたいに吹いてみたらどうなるの???」
と子どもたちの前で吹いてみたのです
するとどうでしょう!
「ブッ…ブォォォ!!」と鳴るではありませんか😳
こうして子どもたちはスカパラごっこがさらに加速し、
思わぬかたちでダンスと結びつくことになりました

ダンスの間奏部分では、そのラッパを手に持ったまま、
スピードラダーで両足跳びで隊形移動する演出を取り入れました
これは身体的な動きとしても成長を促しつつ、
音楽のリズムと合わさってとても印象的な場面になりました

一方で、ラップ芯をただの“棒”として部屋に置いておくと、
当然子ども同士のチャンバラが始まります(笑)
だからこそ、保育士が先に「ラップの芯って、こう使えるんだよ」と、
遊びの中で自然に見せておくことが大切です
例えば、バトンのようにくるっと回してみせたり、エアギターのように演奏してみせたり──
そうしたヒントが、子どもたちの「こうしてみたい!」という気持ちに繋がっていきます

こうして生まれたダンスの表現は、
子どもたちが自分たちの身体と感性で作り上げていったものでした

正直に言うと、私は親子競技に課題を感じていました

準備に時間がかかる、物品の手配が大変、当日の裏方作業も多い。
さらに、内容によっては保護者が競技の主力になってしまい、子どもはただついていくだけ……
そんな構造になりがちなんです

2歳児の親子競技として「着せ替えゲーム」を行なったことがあります
親子で一緒にフープに入り、コースの中間地点まで進みます
そこには伏せられたカードがあり、そこには、浮輪やマント、ラケットなどのアイテムが描かれています
そのアイテムを探し出して、ゴールにいる保育士に着せてあげる──そんな流れでした

2レーンに分かれて、全24組の親子が順番にスタート
親が子どもを誘導しながら、会話を楽しんだり、かわいいやりとりが見られる、いかにも“2歳児らしい”競技です

でもその分、準備物が多く、段取りも複雑
24組分のカードやアイテムを揃え、タイミングを見計らってフープを次の親子へ戻すなど、
保育士が裏で走り回ることもしばしばでした

そんな競技を運営しながら、私は考えていました
「もっとシンプルに、でも、親子が同じ立場で本気で楽しめる競技ができないだろうか」と
それは、準備の大変さを減らしたいという現実的な理由もあるし、
子どもたちの“やりたい”をもっと引き出せる競技にしたいという思いもありました

その年の3歳児の親子競技は、その考察を経て形にしたものです
選んだ競技は「どんどん投げ」
どんどん球を投げるから、どんどん投げです
ネットを挟んで、相手陣地にとにかく多くのお手玉を投げ込む、30秒間の勝負です

この競技の良いところは、
・競技時間:短時間で終わること
・シンプルな全身運動:拾って、投げて、また拾って……単純なようで、全身をしっかり使えること
・準備が簡単:ネットとお手玉を用意するだけ
・ルールが単純:当日の説明が簡潔に済む
・整列が短時間:コート競技なので、端に並んでもらえばOK
・子どもだけでも遊べる:運動会の後日も楽しめる

そしてなにより、「親が主役」「子どもが主役」という線引きをせず、
親も子も本気で楽しむことができるんです
勝敗は、厳密に球を数えても良いし、
見た目で「どっちも頑張ったので、両方勝ち!」と終わらせても良い
子どもの成長に合わせた、でも保護者も楽しめる、
そんなバランスの取れた競技だと思っています

次章では、こうした競技やダンスを通じて見えてきた、
“かわいい”だけじゃない3歳児の育ちについて、改めて振り返ります



運動会が終わったあと、
よく「かわいかったですね」と声をかけてもらうことがあります
3歳児のダンスも、親子競技も、見た目には“かわいさ”がにじむのは当然です

この年の保護者からは違う反応もありました
「子どもだからって、”かわいい”だけじゃないんですね」
「最初はBGMが大人っぽくて戸惑ったんですけど、みんなに似合ってました」
「3歳でも、大人顔負けに玉を投げるんですね」

2歳児のときは、大人の真似をすることで世界を広げていく時期でした
でも3歳になると、子どもたちの中に「やってみたい」「こうしたい」という
自発の芽がしっかりと顔を出してきます
この姿は、表現にも、遊びにも、競技にも、しっかりと表れていました

ダンスでは「こう吹きたい」「こんなふうに持つとカッコいい」という声が自然にあがり、
親子競技では、親にリードされるのではなく、同じルールの中で一緒に本気になる関係性が見えてきました
あの運動会は、ただ「見せる場」ではなく、子どもたち自身の“やってみたい”が形になった時間だったと思っています
そして保護者にも、そんな子どもたちの成長を感じてもらえる機会になったようです

もちろん、まだ3歳
隊列が乱れたり、保護者を前にして泣いたり、思い通りにならないと苛立ったりする
そんな場面もたくさんあります
この一見“ぐちゃぐちゃ”に見える姿の中にこそ、
子どもたちの育ちや関わりの芽生え、そして成長は確かにあるんだと私は思うのです

3歳児の運動会、何をやるか悩んでいる方も多いと思います
私たちも、実は最初から「これをやる!」と決めていたわけではありません

4月の時点で、担任同士で3歳児の発達を再確認することからスタートしました
保育所保育指針を読み返し、年度末までに伸びるであろう力を把握したのです
個から集団へという意識の広がりや、指先の使い方や身体の細かな動きがスムーズになってくるなどですね

それを踏まえたうえで、
子どもたちにはできるだけ選択肢を多く提供してきました
小さな「自分で選ぶ」経験を、日々の保育の中に積み重ねていくこと
それが、“やってみたい”を引き出す土台になると考えたからです
そして、その“やってみたい”を実現するには?を一緒に探ってきました
一歩一歩、その子のステップに伴走してきたのです

運動会も同じです
方向性だけを決めておき、1ヶ月前でもテーマを変えられるくらいの柔軟さを持って準備を進めました
実は、BGMも複数の候補を最後まで残していたんですよ

保護者にも、日々の子どもたちの成長をこまめに伝え、
「運動会はサプライズの場ではなく、子どもの育ちを表現し、共有する場」だと、
時間をかけて丁寧に伝えてきました

選択肢を持つことで、保育者自身にも余裕が生まれます
「いざとなったら、こっちの案(より容易なもの)でもいける」と思えると、
子どもたちの姿にも、おおらかでいられるんです

私は思います
“やってみたい”が育つのは、
行事のための準備ではなく、日々の関わりと選択肢の積み重ねの中だと

あなたの園では、どんな“やってみたい”が育っていますか?
その芽を見つけて、そっと広げていく準備が、もう始まっているかもしれません

最後までお読みいただき、ありがとうございます
保育園によっては、3歳児が運動会のデビューの場合もありますね
私の園では2歳以下の子どもたちも参加しますが、
実質的には3歳児が本格的な参加になります

それだけに、どんな競技に取り組むか、悩ましいです
2歳児までとの違いを表しつつ、
それでいて、大人の思うままにやらせれば良いというものでもない
主役はあくまで、子どもたちですからね

私の事例は、あくまで一つの形です
これからも“より良い”を模索していきますが、
あなたのアイデアのきっかけとなったら嬉しいです

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