こんにゃちは、猫月です😸
子どもが部屋の中を走り回っている
安全を考えれば、その子を止めたくなる場面ですね
他の子も部屋の中で遊んでいますし
テーブルやいすもある環境ですから
さて、どうやって止めましょう?🤔
子どもが好ましくない行動をしていると
ついつい「ほら、走らない」とか「登らない」とか
「〜しない」と注意してしまいますよね
でも、それで以降その行動が無くなるかといったら…
どうですか?
「もー、前にも言ったでしょ!💢」
となることが、ほとんどなのではないでしょうか
ヒトの脳は「否定形を理解できない」
という説があります
専門的には【皮肉過程理論】というそうです
その中で、「考えないようにすると、より強くそのことを考えてしまう」というのを実験で検証したそうです(通称“シロクマ実験”)
では、好ましくない行動って、どう伝えれば良いのでしょうか
・“シロクマ実験”って何?
・考えるより、書いてみる
・「~しない」は迷子の素
・“Don’t”より“Want”を
今回は、以上の4つのポイントに触れながら
「〜しない」ではない伝え方についてお話していきます
“シロクマ実験”って何?
まずは、「~しない」表現を脳が理解できないことを説明するために
【皮肉過程理論】(シロクマ実験)についてお話していきます
【皮肉過程理論】は、1987年にダニエル・ウェグナー(米)が提唱しました
「何かを考えないように努力すればするほど
かえってそのことが頭から離れなくなる」
という現象を説明する理論です
この理論では、思考の過程を
「考えることを実行する実行過程」と
「考えないようにするために思考を見守る監視過程」に
分けて考え
何かを考えないようにしようとすると
よりそのことが気になってしまうことがある
と説明されています
例えば―
禁煙をしようと、タバコを頭から追い出そうとすると
かえってタバコが気になり
ますます吸いたくなることがあるんですね
ウェグナーは【皮肉過程理論】を検証するために
通称シロクマ実験を行いました
※シロクマという熊はいないので、本来の名前であるホッキョクグマで説明します
まず、A・B・Cの3つの実験参加者グループを用意します
① すべてのグループにホッキョクグマの一日を追った同じ映像を見せる
② Aグループには、「ホッキョクグマのことを憶えておくように」と伝える
③ Bグループには、「ホッキョクグマのことを考えても考えなくても良い」と伝える
④ Cグループには、「ホッキョクグマのことだけは絶対に考えないように」と伝える
⑤ 一定の時間が経ったあと、実験参加者に映像について憶えているかを尋ねる
この実験の結果
最も映像の内容について詳しく憶えていたグループは
「絶対に考えないでください」と言われたCグループでした
【皮肉過程理論】では
ヒトが自分の思考をコントロールしようとすると
2つの過程(〔実行過程〕と〔監視過程〕)が働くと考えられています
〔実行過程〕は、実際に思考する過程で
特に思考をコントロールしたいと思っていない場合に主として使う過程です
上記の実験では、ホッキョクグマの映像を思い出すときにも使われています
〔監視過程〕は、自分の考えをコントロールしようとしたときに働く過程です
この過程では、自分の思考をが望んでいる内容に反していないか監視します
上記の実験では、ホッキョクグマの映像を思い出してはいけないときに使われます
でも、この実験でポイントになるのは
監視過程で「ホッキョクグマについて考えているか・いないか」を監視するためには
実行過程で「ホッキョクグマについて考える必要がある」ということです
だから、考えないようにしようとすると
脳はかえってホッキョクグマのことを考えてしまい
強く思い出しやすくなっていたのです
結果、ホッキョクグマのことを考えないようにするのが難しくなるんです
これが「~しない」では望ましくない行動が無くならない
それどころかより強化されてしまう理由です
考えるより、書いてみる
実のところ、私も“〜しない”表現が多いです
ですが、脳は「否定形を理解できない」と知ってから
表現を改めるように努めてきました
ただ、頭の中で考えるだけだと、癖はなかなか直すのは難しいものです
☝️実は最初、「癖はなかなか直らないものです」って書きました(笑)
毎回の記事を書く中でも
この“〜しない”表現を意識して直すようにしています
「〜できない」だったら「〜するのは難しい」とか「〜するのは困難」とかですね
ヒトは思考に長けた生物ですが
脳の中だけで考えるのは、実は非常に困難です
勉強する時には、音読や書写をする方が記憶に残りやすいと言われます
それは、思考には運動が伴う方が効率が良いからです
例えば、暗算
暗算というのは、頭の中だけで計算をするわけですが
算盤を経験している人は暗算が得意です
算盤を身につけている人は、頭の中でも擬似的に算盤を弾いて計算しています
指だけで珠を弾いている人もいますよね
「算盤を弾く」という運動と「計算する」という思考がリンクして
結果として暗算が得意になっているわけですね
保育園の年少児でも十二支を覚えている子がいます
その子は十二支を覚えようとしたわけではなく
「十二支のうた」を唄っていたから十二支も憶えていました
大人でも十二支やアルファベットの順序を思い出すのに
頭の中で唄っている人は結構いるのでは?🤗
歌うという動作と、記憶が連動しているのです
ということで、“〜しない”表現を改めるには
実際に相応しい表現で書くことから始めることをお勧めします
「え〜、そんなの面倒…😓」と思うかもしれませんが
子どもに伝わりづらい表現を続けて大変な思いを繰り返すのと
ちょっと奮起して子どもに伝える表現ができるようになるのと
どちらが自分にとってメリットがあると思いますか?😁
子どもにしろ、大人にしろ
脳は「否定形を理解できない」と考えれば
表現を変えるメリットは子育ての場面以外でもありそうですよね
仕事場でも、家庭内でも
「靴下を脱ぎっぱなしにしない💢」より
「脱いだら洗濯機に入れてね」の方が
伝わりやすいんじゃないでしょうか
「なんでそんな気遣いを自分がしなきゃいけないの😡」
という気持ちは分かります
それでも、そのイライラがずっと続くよりは
少しでも改善の可能性がある言葉掛けの方が
結果として自分の理想に繋がるんじゃないでしょうか
まずは、言い直しを書き出してみることをお勧めします
頭だけでなく手も使って、メモを使って考えていくと
徐々に考え方にも反映されていくと思いますよ
「〜しない」は迷子の素
ここでは“〜しない”表現のデメリットについてお話ししていきます
「〜しない」は、否定ですよね
あなたが否定されたと思って想像してみてください
例えば
あなたがクルマ🚘の運転をしていたとします
もうすぐ交差点に差し掛かり
そのまま直進しようとしたところで
ナビから「直進しないでください❌」と案内されたら
あなたはどうしますか?
右折しますか?
左折しますか?
というか、パニック😱に陥りませんか?
子どもへ、何かしらの行動をして欲しいと思ったときに
「~しないで!」と伝えるのは、そういうことです
好ましい行動へ促すよりも
混乱を招いているだけの方が多いです
なぜって
行動にはいくつもの選択肢があり
子どもはその中で最善と思われるものを選んだのです
なのに、その選択肢を否定されたら
ただただ困惑しますよね
「~しない」表現は
好ましい行動を促す効果に欠け
同時に、子どもに混乱を招く表現です
また、否定形での伝え方は
相手の自尊心を傷つけます💔
子どもは子どもなりに
目的に対しての最善の手段を考えているわけです
大人と比べて経験が少ない分、判断を誤ることはあるでしょう
自分なりに考えてとった判断を
「~しないで!」と大人から否定されたら
子どもはどんな思いを抱くでしょうか
大人だって
上司や先輩から頭ごなしに自分の仕事を否定されたら、どう感じますか
「じゃぁ、どうすれば良かったのっ?!🌋」って
憤りたくなりません?
相手への信頼感だって損なってしまうのではないでしょうか
”~しない”表現は、相手の自尊心を傷つけます
加えて、信頼感も損ねてしまう
それでいて、好ましい行動に促す効果にも欠けている
では、どう伝えましょうか
“Don’t”より“Want”を
よく”I message”(アイメッセージ)で伝えよう、って言いますね
「私は、あなたが○○してくれると嬉しい」と
主語を自分だと明言して、相手に要求するという伝え方です
そして、受け入れてもらえなかったとしても
相手の思いを尊重する関わり方です
私はそこから応用して
「~しないで(Don’t)」より
「~して欲しい(Want)」を伝えることが大事かな
と考えています
こちらにとって「望ましい」行動を求めているのですからね
クルマのナビでいえば
「次の交差点を右に曲がってください」と案内されますよね
相手にして欲しい具体的な行動を伝えることが大事です
保育士でいうと「日誌は溜めない!」より
「日誌は当日に記入しよう」でしょうか
あと、要求するなら
それが実現できる環境の保証もしましょう
足の踏み場もないくらいに散らかった部屋で
「絵本を踏まないの!」というのは無茶な要求です
環境を保全する責任は、保育士にあります
子どもが自分から片付けるようになって欲しいのであれば
片付けやすい環境が大事でしょう
加えて、片付ける動機を持ってもらうかの工夫も必要ですよね
「大人に注意されるから、片付ける」だと
「大人に注意されないなら、片付けない」になってしまいますから
自分にとって整理整頓された環境は心地良い
そう分かってもらえたら、子どもは自分から片付けをすると思いますよ
片付け以外でも「自分のためにやる」と考えてもらうためには
そうすることで得られるメリットを実感してもらえることが大事ですね
相手にとってのメリットを理解して欲しいのですから
やはり「~しないで」より
「~して欲しい」の方が伝わりやすいと思いますが
いかがでしょうか
最後までお読みいただき、ありがとうございます
ときどき相手に対して
「同じことを何回言わせるの!」
という表現をする人がいます
これは、客観的に見ると
自分が相手に伝わらない表現を繰り返しているのです
それって、とても無駄な労力だと思います
自分のためにも、相手に伝わりやすい伝え方をするのが
Win-Winなコミュニケーションなのではないでしょうか
「~しない」表現は
相手の行動を止めるどころか、強化してしまう
それでいて、お互いの信頼関係にもヒビを入れるものです
「~しない」よりも
「~して欲しい」「~してください」と自分の思いを伝えること
加えて、相手にそうすることもメリットを知ってもらうこと
それが結果として
好ましくない行動から、望ましい行動へと変化してくれるなら
自分にとってもありがたい状況になりますよね
言葉の向きを変えるだけで、大きくいろいろなモノが変わり始めます
まずは、自分のふとした言葉に目を向けてくれたら
私は嬉しく思います😻
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