こんにゃちは、猫月です😸
実は以前、「子ども家庭庁の経験者採用に応募しようかな…」
と考えたことがありました
ちょっと勇気のいるチャレンジですが
それだけ今の自分にとって、
子どもを取り巻く制度や政策が
“他人ごとではない”と感じていたからです

えっ、猫月さんが!?
まさか省庁勤務に転職希望なんですか…?

“現場の実際を霞が関に”っていう気持ちはあったんだけどね
その前に、子ども家庭庁って何のためにできたのか
そういえばきちんと知らないなと思ったんだよねー

たしかに…“こどもまんなか社会”とかって最近よく聞くけど
子ども家庭庁がどんなものか…正直あんまりピンときてません

そうでしょ?だから、“子ども家庭庁”ってどんな組織なのか
そしてそれを支える『こども基本法』ってどんな法律なのかを
保育目線で勉強しようと思うんだ
子どもの権利を考えてみようの第3回は
「こども基本法」と「子ども家庭庁」について学んでいきます
子ども家庭庁って、そもそも何?

そもそもさ…“保育園”は厚労省、“幼稚園”は文科省、
“こども園”は地方自治体によって管轄違ったり…って、
子どもの施設ってことでは同じなのに、ちょっとモヤモヤしない?

その疑問は、多くの人が持っているでしょうね
実はその“縦割り”の問題が、
子ども家庭庁創設の大きなきっかけのひとつなんです

そこに子ども家庭庁が絡んでくるんですか?

保育園は“福祉”、幼稚園は“教育”として発展してきたから、制度や資格が異なるんだ
2006年に幼保統合を目的に認定こども園を創ったんだけど…

“こども園にも種類がある”という、
余計に複雑な結果になっちゃったのね💧

そう。この“制度の壁”を乗り越えて、子ども中心で考えるにはどうすればいいか?を
本気で考え始めたのが、子ども家庭庁なんだよ
子ども家庭庁ってなに?

子ども家庭庁は、2023年4月に発足した内閣府の外局です
設置目的は、子どもに関するあらゆる施策を“ひとつにまとめる”ことです
これまで子どもに関する政策は、
・教育 → 文部科学省
・福祉・保育 → 厚生労働省
・少子化対策 → 内閣府
といった感じで、バラバラな管轄の中で進められてきました
でも実際には、子どもの課題って
そんな風に線引きできるものじゃありませんよね
「家庭の困りごと」も「発達の支援」も「学校との連携」も、
ぜんぶつながっています
だから子ども家庭庁では、子どもの生活に関する施策を
“こども中心に”再設計し直すことを目指しています
つまり、“制度の都合”ではなく、“子どもの視点”から政策を見直していく官庁なんです
(現状では課題が山積みですが…)
こども基本法って、どんな法律?

ところで、“こども家庭庁”って、
なんでそんなに“こども”に力を入れてるんですか?

それにはね、『こども基本法』が関係してるんだよ
これは“子どもが権利のある存在”って、ちゃんと明記した
日本で初めての基本法なんだ

2022年に成立した『こども基本法』を整理してみましょう
こども基本法とは?

児童福祉法には、こんなことが書かれています
“すべての子どもが健やかに育ち、幸福な生活を送るために、社会全体でこども施策に取り組むこと”――これがこの法律の出発点なんです
こども基本法は、2022年に成立・2023年に施行された法律で
最大の特徴は、“子どもを権利の主体として位置づけている”という点です
この法律は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、
こども基本法 第1条 第1項
次代の社会を担う全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、
自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、
心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、
将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して、
社会全体としてこども施策に取り組むことができるよう、
こども施策に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、
及びこども施策の基本となる事項を定めるとともに、
こども政策推進会議を設置すること等により、
こども施策を総合的に推進することを目的とする。
これまでも児童福祉法などで子どもの支援は語られてきましたが、
“すべての子どもが等しく、幸せに育つ権利を持つ”ことを、
国の責任として明記したのはこの法律が初めてです
また、この法律をもとにして、「子ども家庭庁」が設置されました
つまり、こども基本法は、子どもに関するすべての政策の“土台”となる法律なんです
こども基本法の基本理念はどんなもの?

さらにこの法律では、“基本理念”として
子どもの権利に関する考え方がいくつか明記されています
たとえば第3条では、こんなふうに書かれています
こども施策は、こどもが権利の主体として尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、
こども基本法 第3条
年齢及び発達の程度に応じてその意見が尊重されること。
その他のこどもの意義ある参加が保障されること、並びにこどもの人格が尊重され、
かつ、こどもが良好な環境の下で心身ともに健やかに生まれ、育成され、教育され、
及びその自立が図られることを旨として、策定及び実施されなければならない

大人たちは、子どもを“守る”だけじゃない…
“子どもの意見を聞く”ってことが大事なんだね

“子どもは未熟だから”と決めつけずに
“どんな思いを持っているか”を尊重するってことが、この基本法の柱なんだよ
国や自治体、そして私たちの役割は?

そして第4条と第5条では、国と地方公共団体が、
子ども施策に責任を持って取り組むことが明記されています
こども基本法 第4条・第5条を抜粋すると――
・国は、こども施策を総合的かつ効果的に策定・実施する責務を負う(第4条)
・地方公共団体も、地域の特性を踏まえた施策を策定・実施する責務を負う(第5条)
ということが明記されています

「行政がやるべきこと」って感じに見えるけど
保育現場の私たちにも、できることってあるのかな?

もちろんあります。法律に直接書かれていなくても、
“子どもの声を聴く”“思いを尊重する”という基本理念は、
子どもと関わるあらゆる場面に活きてくるはずです

たとえば、“今日の遊びをどうする?”と子どもに聞いてみたり、
“やりたくない”といった気持ちをまず受け止めたり……
そういう積み重ねが、“こどもまんなか”につながるんだね

そうです。こども基本法は大人に“こうしなさい”と命じているのではなく、
でも、子どもの目線に立って考える社会を、
大人も一緒に創ろうって提案してるんです
「こども基本法」は、子どもを大人と対等の存在として
ただ“守る”対象ではなく、“社会の一員として”尊重することを謳っています
また、「子ども家庭庁」は縦割りだった行政の子どもに関する施策を
子どもの視点でつなげていく役割を担っているのですね
次回は、戦後間もない日本で発表された「児童憲章」について取り上げます
“子どもの権利”という言葉が定着する前から、どんな理念が語られていたのか?
いま一度、原点に立ち返って考えてみましょう
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