こんにゃちは、猫月です😸
「制作あそび」と一口に言っても
年齢によって“できること”も“感じること”も全然違います
「表現」って
ある日突然できるようになるのではなく
日々の体験の積み重ねの中で
少しずつ育っていくものなのだと感じています
今回は、私の保育の中で出会った
2つの実践事例をご紹介します
3歳児の山車づくり 〜「えのぐに触れること」から始めよう〜
地域の秋祭りに向けて
クラスで山車を作ることになりました
「どんな山車にしようか?」という
テーマは子どもたちと一緒に決めました
でも、「どう作るか?」が
保育士としての悩みどころだったのです
「えのぐで塗ろうか?」
「でも服が汚れたら大変かな…」
そんな迷いがよぎりましたが
そこで私たちはふと立ち止まりました
「子どもたちは、絵の具という素材を
十分に体験してきただろうか?」
私は、子どもたちにこういうことを感じてほしかったのです
・絵の具って、楽しい
・でも、ちょっと扱いが難しい
・体や服が汚れることもある
だからこそ、あえて筆ではなく
“手と指”で山車を塗ることにしました
えのぐのぬめり、冷たさ、重たさといった感触…
指先で描く、手の平で広く伸ばす面白さ
子どもたちは夢中で手を動かしながら、
「うわ~、ぬるぬるする!」
「こんなにいっぱい塗ったよ!」と声をあげていました
それは、ただの“作業”ではなく
素材と向き合う「表現のはじまり」だったと思います
5歳児のこいのぼり制作 〜任せてみたら、広がっていった〜
5歳児クラスを担任したときのこと
私は“持ち上がり担任”ではなかったので
子どもたちとどんな制作遊びを展開しようか、最初は手探りでした
でも、5歳児ならばきっと
切る、貼る、描く――
制作の基本的な技術は身についているはずだよねと
担任同士で確認し、子どもたちにはこんな風に伝えてみました
「こいのぼりを作ろう!
切っても、貼っても、描いてもいいよ
どうやって作るかは、みんなに任せるね」
すると、部屋には
ひとりひとりの個性があふれたこいのぼりが並びました
保護者からは「何ですか、これ…?」「どうしてこうなったんですか?」と驚きの声も
でも私たちは、ひとつひとつの作品について
その子がどんな思いで作ったのか
どんな工夫をしたのかを
丁寧に伝えるようにしました
その後の“続き”まで育った制作
その年の秋の運動会では、フラッグを使ったマスゲームをしました
その数日後、とある保護者がこう話しかけてきたのです
「先生、うちの子、ポーチ作ったんですよ」
なんと、その子は運動会で使ったフラッグを素材にして
裁縫ボンドでポーチを作ったというのです
本人にポーチを作ったんだって?と声を掛けると
「楽しかったから、残しておきたかった」
その言葉に、胸がいっぱいになりました
保育園での経験が、家庭に“続いていた”こと
それが私たちには、何よりもうれしかったのです
・自分の力でやり遂げる充実感に気付くよう援助すること
保育所保育指針より(表現:内容の取扱い)
・諦めずに続けた後の達成感を感じられるような経験を蓄積すること
3歳の「素材と出会う体験」も、
5歳の「自分で表現し、思いをかたちにする力」も
どちらも子どもの“つくる力”の一部です
そしてその力は、日々の生活や遊びの中で
少しずつ、でも確かに、育っていきます
次回は――
「この子は、現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ!? アントニオ・ガウディ!?」
子どもの自由な発想と、その才能の芽吹きが保護者にも届いた
保育での「表現」の大切さが目に見えたお話です
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