こんにゃちは、猫月です😸
運動会や発表会
保護者にも見てもらう行事は
何を題材にしようか悩み所ですね
私も毎年のように
頭を悩ませております😵💫
普段から楽しんでいる題材を
出来れば取り上げたいと考えていますが
そのためには子どもの傍に
物語を置いておきたいと思っています
うちの保育園では
3歳児は生活発表のデビューでもあります
初めての発表会
私が大事にしていることがあります
・全員が主役であること
・勧善懲悪な演出は避けること
・セリフが簡潔であること
登場順はあるにしても
主役・脇役・敵役の区別は
3歳児にはまだ不要と考えています
道徳的な内容も
生活の中で気付いていく過渡期に
ロールプレイは避けたいとも
あとは”失敗”と観客が感じないような
セリフや演出でありたいと思っています
そんなことを踏まえながら
私が3歳児のごっこ遊びで
楽しんだ物語を取り上げていきます
・三びきのやぎのがらがらどん
・おむすびころりん
・てぶくろ
・ねこのおいしゃさん
・3びきのこぶたのおかあさんのたんじょうび
簡単ではありますが
1冊ずつ紹介していきましょう
三びきのやぎのがらがらどん
【三びきのやぎのがらがらどん】
ノルウェーの昔話 マーシャ・ブラウン 瀬田 貞二©福音館書店
-あらすじ-
ある所に三匹のやぎがおりました
名前はどれも がらがらどん
三匹のやぎは 山の草場を目指します
途中の谷川には橋が架かっていて
そこにはトロルが住んでおりました
がらがらどんたちは
凶暴なトロルから逃れて
山の草場へたどり着けるでしょうか
言わずと知れた
名作のひとつですね
ごっこ遊びの定番でもあると思います
ちなみに三匹のやぎを
「がらがらどん」と名付けたのは
翻訳をした瀬田さんなのだそうです
なぜヤギの名前は“がらがらどん”なのか?
(ふくふく本棚|福音館書店)
がらがらどんでごっこ遊びをする時は
トロル役を保育者が演じて
子どもと駆け引きをしながら
世界観を楽しむことが多いです
トロル 兼 ナレーターの役割ですね
子どもたちはやぎ役になりますが
掛け合いがシンプルなので
小中大、どのがらがらどんも演じられます
絵本の中では
大きいがらがらどんが
トロルを谷底へ突き落しますが
退散させる方法は
演出でいくらでも変えられます
よくあるのは
トロルが出したお題に
やぎたちが応えることで
つり橋を渡れるといった感じでしょうか
手遊びを見せたり
歌を唄ったり
でんぐり返しをやってみせたり
子どもの得意に合わせて
演出を構成しやすいのも
がらがらどんの特徴だと思います
私ががらがらどんを扱った時は
当日まで何度もごっこ遊びを楽しんで
発表会の日にどのやぎを演じるのか
子どもたちに選んでもらいました
トロル役の保育者が
掛け合いの言葉を引き出していきますから
きっちりセリフを覚える必要もないですしね
子どもたちと物語を紡ぎやすい
そんな作品だと思っています
おむすびころりん
【おむすびころりん】
さくらともこ にしうちとしお©PHP研究所
-あらすじ-
むかし むかし あるところに
じいさまと ばあさまが おりました
ある日 じいさまが柴刈りをしていると
弁当のおむすびを 穴に落としてしまいました
すると穴の中から うたが聞こえてきます
「おもすび ころりん すっとんとん」
楽しくなったじいさまは
残ったおむすびも 穴に転がし
自分も転がり落ちていきました
穴の下にあったのは
ねずみたちの国でした
日本の昔話の中では
比較的メジャーな作品でしょうか
これは個人的な話ですが
子どもたちには日本のおとぎ話を
できるだけ届けたい
というのが私の願いです
以前の記事でもふれましたが
「金太郎」の内容を知らない
という保育者もいるんですよねぇ…💦
うちの子も
「『ここ掘れワンワン』はどの昔話のセリフか?」
ってクイズに答えられませんでしたしね…😵💫
言葉の力で“母語”を身につけることは
とても大事なことなので
すべての作品にはふれられないまでも
やはり日本の昔話を楽しむ機会は保障したいところです
さて、ごっこ遊びの話に戻りますが
本来のおむすびころりんは
優しいおじいさんと
意地悪なおじいさんのコントラストで
道徳的な内容となっています
ですが
私が子どもと楽しみたいのは
ねずみがおむすびを餅にするというくだりです
おむすび(=米)を餅にするならば
他の食材だったら
ねずみたちは何を作るのでしょう?
子どもたちにそう問い掛けると
いろいろな想像が膨らみます
卵だったらオムレツに
じゃが芋だったらコロッケに
りんごだったらアップルパイに
日本の昔話を伝えたいと言いつつ
子どもの発想は和食・洋食は問いませんw
ここで大事なのは
子どもが「穴を転がれる食材」でないと
物語が成立しないと気付くことです
自分がどんなに好きな食べ物であっても
板チョコレートや
マグロの刺身は
案に出てこないんですね
さらに言うと
完成された食品も出てこない
ねずみたちの調理が
必要なくなっちゃいますからね
子どもたちに問い掛けた時に
自分たちで条件に気付いていく過程も
大事な思考の経験だと思うのです
ところで
ごっこ遊びを楽しむためには
役を設定しなければなりません
全員が“ねずみ役”では苦しい…
色分けをして
あかねずみ
あおねずみ
ピンクねずみにする?
なんて意見が事務室サイドからはありましたが
私が以前にご一緒した園長から
「子どもに合えてウソを提供しない」
という話がありました
壁面装飾などで
水色のゾウや
ピンクのうさぎ
などが登場することがありますが
「そんな生き物はいない」
というのが園長の意見でした
私もそこには共感するところがあったので
できるだけ実物にしたかったのです
そこでどうしたかというと
子どもたちと動物図鑑を開きました
ねずみにもいろいろな種類がいて
大小様々なねずみがいます
子どもたちといくつかのねずみを選び出し
それを配役として当てたのです
演出としては大人がいじってますけれど
子どもたちがいろいろ検討して
自分たちで作り上げたという意味では
なかなか楽しい題材でした
てぶくろ
【てぶくろ】
ウクライナ民話 エウゲーニー・M・ラチョフ 内田 莉莎子©福音館書店
-あらすじ-
おじいさんと 犬が 森を歩いていました
おじいさんは 手袋を片方だけ落として
気付かないまま 行ってしまいました
その手袋を ねずみが 見付けました
「私の家にするわ」
そこへ、カエルもやってきて…
「てぶくろ」には
いろいろな動物が登場しますね
そして物語の構成が
基本的に同様のやり取りのくり返しです
これだけでも
幼児向けのごっこ遊びとして
ほぼ脚本が出来上がっています
くわえて
登場する動物に善悪の区別がない
草食動物と肉食動物が
並列の立場で描かれています
さらにいうと
オチがない(笑)
特定の指向性を持った
“結論”が無い作品です
子どもたちが
ただただ動物になった気持ちで
ごっこ遊びを楽しめる作品です
原作通りの動物が登場しても楽しいですし
子どもたちと考えても楽しいですよね
原作でクマが手袋に入るくらいですから
最初から制限が取り払われていますし
みなさんだったら
どのように展開させるでしょうか
ねこのおいしゃさん
【ねこのおいしゃさん】
ますだゆうこ あべ弘士©そうえん社
-あらすじ-
森の中に 小さな病院がありました
ねこのお医者さんと 奥さんの看護師さん
今日も 動物たちが やってきます
最初の患者さんは ゾウです
「鼻がつまっちゃって…」
それは大変!
それでは、気合を入れましょう
どんな患者さんたちがやってくるのかな?
作者のますだゆうこさんは
ケロポンズのケロちゃんとして有名ですね
ねこのおいしゃさんも
ケロポンズがパネルシアターにして
CDも販売されています
♪ねこ ねこ ねこの おいしゃさん
ねこ ねこ ねこの おいしゃさん
ニャー!と きあいを いれたなら
だれでも よくなる
すぐに よくなる
はい!おだいじに~
巻末に
ねこのお医者さんが気合を入れるときの
歌と譜面が載っていますが
子どもたちはこの歌が大好きです
この絵本も
基本的にはやり取りのくり返しで構成されています
患者さんがやってきて
「○○で困ってるんです」
それでは気合を入れましょう
~うた~
「治ったー!」
というシンプルな構成なので
セリフはありながらも
子どもも自然とやり取りができる内容です
ケロポンズが動画を公開してくれているので
家庭で親子一緒に楽しめるのも
ありがたいですね♪
3びきのこぶたのおかあさんのたんじょうび
【3びきのこぶたのおかあさんのたんじょうび】
あさのななみ 長浜宏©PHP研究所
-あらすじ-
今日は 三匹の子ぶたの お母さんの誕生日
子ぶたたちは
お母さんへ プレゼントしようと
それぞれ探しに 出掛けました
おおぶたちゃんは りんごを
ちゅうぶたちゃんは アイスを
ちいぶたちゃんは たい焼きを
プレゼントしようと思いました
ところが…
「3匹の子ぶた」は
アレンジされた作品が多いですね
あさのななみさんの作品では
現代調にアレンジして
オオカミさんとのご近所付き合いもあります
この作品も
3匹の子ぶたたちの行動が
いわゆる“テンドン”という演出で
くり返しの展開をしながらも
起承転結で物語が描かれています
3匹の兄弟が
ちょっと失敗を経験しつつも
お母さんとの関わりもあって
成長していくお話です
このシリーズのお母さんは
とにかく子どもたちを肯定します
子どもたちの行動の結果ではなく
どうしてそうしようとしたか
行動の動機にフォーカスしているんですよね
子どもたちは
三びきの子ぶたをトレースして
ごっこの遊んでいるのですが
物語としては
ちょっと大人をホロッとさせる内容です
絵本の内容を
そのまま演出しても楽しめますし
「お母さんを喜ばせたい」気持ちを
子どもたちと話し合うのも
良い機会なのではないでしょうか
ちなみに私は
以前に組んだ先輩の演出を踏襲して
子ぶたのセリフを動作と併せて
コミカルに見せながら
笑い声のこぼれる展開をすることが多いです
「誰かの役に立ちたい」という
自我の育ちが顕著な3歳児期に
取り上げてみても面白い1冊だと思います
ということで
5冊の絵本を紹介してきました
私としては
運動会も生活発表会も
子どもたちの日常の延長にあるもの
という認識でいます
行事の日であっても
子どもにとっては1/365日
「特別な日」というのは
大人の価値観であって
子どもの感覚ではないという認識です
だからこそ
日頃から楽しんでいる物語から
ごっこ遊びへ広げていけるのが
より望ましいと考えています
本棚に並んだ絵本から
子どもたちが表現活動を楽しんで
それを保護者や家族と共有できたら
発表会でない日も
子どもたちは輝くのではないでしょうか
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