「年長の運動会は竹馬」という保育園で

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やってみたよ!こんな保育

こんにゃちは、猫月です😸

運動会シーズンは終わりましたが
昔の話を思い出したので
つらつらと書いてみようという気分になりました(笑)

タイトルにあるように
その保育園の運動会では
年長児(5歳児)は竹馬を披露するのが通例になっていました

本来、運動会に限らず
保護者にお見せする子どもの姿というのは
その時々の子どもたちの成長を伝えたいのであって
「こうあらねばならない」なんてものはありません

ただ、保育園や幼稚園が
行事や競技の目的を明確に保護者に伝えていないと
「年長は竹馬」といったような
誤解が刷り込まれてしまうのは間々あることです

例えば、
運動会で恒例の最終競技にリレーがありますが
あれって何のために行われているか
保護者の方はご存知ですか

幼児であろうと児童であろうと
教育には目的がありますし
教育の最終的な目的の一つは「成人後に自分で飯が食えること」です

是非とも学校の先生にお尋ねになってみてはいかがでしょう
加えて、保護者の方もリレーに盛り上がる以前に
「これは我が子の人生にとって何の役に立つのか」を振り返っていただきたいです

保護者が求めているから
なんて理由で競技が決められているのだとしたら
そこには教育的な意義も目的もない時間を
子どもに強いているだけ、ということになりますね
それじゃー、大人の欲望のために
子どもの貴重な時間を浪費させているだけ
じゃありませんか

とはいえ

保護者の要望には応えたいというのも
保育者ならば抱えるジレンマでもあります

実際、私だって
「これってどうなの?😥
と思いながら進める保育はあります

そういう場合は
こじつけでも何でも
少しでも子どもの成長に繋がるように
“最善の利益”に近付くように
脳が汗をかくしかないですね🤯💦

今回はそんな一例として
5歳児の竹馬の取り組みについてお話していきます

まぁ、暇つぶし程度に読んでやってください😽

ちなみに、保育園の竹馬は竹製でした
通販だとなかなか見つけられませんでしたが😅

当時の勤務先での運動会
5歳児はクラス競技として竹馬に取り組んでいました

5歳児の競技時間は、なんと30分

運動会の総時間が2時間30分を超える中で
1クラスの1競技で、30分以上は長過ぎると思います

成人でも集中できる時間は20分程度が限界と言われるのに
幼児の1競技で30分は問題があったと思います

その競技の中でも特に時間を要していたのが
ひとりずつ見せる“高さ”のパートです

5歳児は27人いましたが
その27人をひとりずつ
どの高さの竹馬に乗れるようになったかを見せていたのです
(1人30秒だとしたって15分近くかかる…⏱)

担任は「こんなに上達しましたー♪」とアナウンスするんだけど

ちょっと待って!😲

竹馬の上達具合って
乗れる高さで判断するの?🤔

たしかに、高い竹馬に乗れるにはくり返しの練習が必要ですし
そこまでの高さに乗れるようになった子の努力は認めたい

でも、竹馬の高さが努力の可視化みたいになってしまうのは
ちょっと違う気がする…
だって、低い竹馬に乗っている子は
努力が足らなかったわけではないでしょう?

竹馬の高さは、箸の長さみたいなもの
自分にとって使いやすいサイズを選ぶのが大事なわけで
長い箸を使えるほど箸の扱いが上手、ではないですよね?
もし長さが上達具合の指標になるなら
和食マナー講師は全員菜箸で食事しているはずですからw

なんだかなぁ…と思っていた翌年
私は5歳児担任として運動会へ臨むのです(笑)

さて、当事者として竹馬に取り組むことになったわけですが
(もちろん、子どもたちの意思確認をした上でです)

そうなると大事にしたいのは
「竹馬の楽しさ」です
遊びは、楽しんでナンボですからね

子どもに遊びや生活スキルを伝えるときは
私はその根幹は何だろう?と考えるようにしています
(某所では保育の因数分解とか嘯いてますw)

私は竹馬の面白さの根幹
“自分の足のように扱えること”だと考えました

竹馬でも けん玉でも あやとりでも
遊具で遊ぶ楽しさ
自分の思い通りに操作できることだと思います

テレビゲームなんかもそうですよね
キャラクターを思い通りに動かせるから
面白いし、爽快感が得られる

それを逆手にとって
思い通りにならないのを楽しむ作品もありますが(笑)

要は、高い竹馬に乗れるかどうかは副産物であって
子どもに体験してもらいたいのは
自分の思い通りに竹馬を操作できること

じゃぁ、運動会で披露したいことは?

大人があれこれ設定するんじゃなくて
子どもが自分のやりたいこと(通称“技”)を
思うように発揮する姿
だと思ったのです

この項は余談ですが―

私はこの逸話を聞いてからというもの
努力は美しいという価値観を見直しました

もし仮に
何かしらの行事を終えた後に
子どもたちがその遊びをしなくなったら
それは【鉄棒】の逸話と同じことを保育者がしたのだと思います

「もう、やらなくて良いんだね!!」

子どもにそう思わせてしまったら
それは貴重な選択肢を保育・教育が潰してしまったことになります

大人の熱心さが、価値観が
「もう、やらなくて良い」を生み出さないように
細心の注意と配慮で、子どもの環境を整えていく必要があるのです

子どもたちと竹馬で遊び始めましたが
まぁ、乗れるまでには時間がかかります

でも、ちょっと待てよ…
「乗れる」って、何だ?🤔

おそらく、子どもたちのイメージは
昨年までの5歳児クラスの姿です

ただ、それは「乗りこなせる」レベルなので
初心者が目標にするにはハードルが高いんです

そうなると、いつまで経っても「乗れない」ままになってしまいます

例えば、保育士にはピアノ演奏が求められますが
「ピアノが弾ける」って、どのイメージですか?

以前担任していた子は
「ラ・カンパネラ」を弾けるようになりたいと
ピアノ教室へ通い始めていましたが…

私が弾けるのは「きらきら星」や「チューリップ」くらいです🙄
これを「弾ける」とするか「弾けてない」とするか

私は、子どもたちわかる
竹馬に「乗れている」の指標が必要だと考えました

そこで示したのが
・最初の一歩が出せた
・3歩進めた
・5歩進めた

の3段階です

フラつく状態から一歩が出せた👍
右 左 右
( 右 左)と交互に足が運べた✌
足を運ぶのをくり返せた
🙆

竹馬上達の3段階です

5歩進めるようになったら
「ほら、乗れた!」
私の方が大はしゃぎw

いやいや、一歩が出せた時でもサムアップ👍なんですけど
子ども自身に「乗れた」を実感してもらえるには
やっぱり大人が喜びを伝えることが大事だと思うんです

あとは歩く距離が伸びていくだけです
実際、5歩進めるようになった子は
数日中には長い距離を歩けるようになります

歩けるようになったら
子どもは思い思いにいろいろなことを試し始めます
巧技台に乗ろうとしたり
後ろ歩きをしようとしたり
タイヤを跨ごうとしたり
そうしてオリジナルの“技”を思いついていくのです

当時の保育園では、竹馬の高さを“段”で呼んでいました
竹馬に乗る時に、巧技台に登っていたので
巧技台1段(10㎝)で乗れる竹馬は“1段”
巧技台6段(60㎝)で乗れる竹馬は“6段”
という具合になっていました

ちなみに巧技台の高さは=年齢というのが通説だったので
竹馬の最高段も6歳=6段でした

それで、最初は1段から始めるわけですが―

巧技台1段の高さに竹馬の下駄の厚さも加えると
15㎝くらいの高さになります
5歳児の平均身長が110㎝といわれますから
自分の身長の約14%が足されるわけです

大人で換算すると
160㎝の人が182㎝くらいになる感じ
結構な高さですね😳

気にしない子は気にしませんけれど
急に視界が高くになり
しかも不安定ともなれば
まぁ、足がすくんで進めないのもわかりますね

早めに乗れた子が3段くらいの竹馬で遊んでいる頃
まだ1段に乗れていない子がいました

練習はくり返しているのですが
なかなか成果に結びつかないのは
当の本人が一番もどかしい思いです

私は幼児期から運動音痴でしたから
できないことは「つまらない」に陥りがちだったんですよね…

さて、どうしたものか…🤔

そこで私は、竹馬の下駄がほぼ地面についた0段を用意しました

それまでの保育園では、最下段は1段です
基準は、巧技台のふたが一番低いから

目標は「竹馬に乗れる」ことであって
どの高さであろうと竹馬は竹馬です

0段の竹馬であっても
“自分の足のように扱えること”ができれば
竹馬の楽しさは感じられるでしょう

この0段に乗って5歩進めることが
その子たちの最初の目標になりました

0段だからって舐めちゃいけません
手足を連動させないと乗れないのは
どの高さの竹馬とも同じです

ただ、0段で歩けるようになると
1段を目指したくなるのが人情です
以前と違うのは
0段で手捌き、足捌きを身につけていること
あっと言う間に1段の竹馬も乗れるようになり
2段、3段と高さを上げていくのでした

私は、保育者の仕事というのは
子どもの伸び行く力を遮るモノをどけること
だと考えています

竹馬の場合でいえば
子どもが竹馬に乗れるようになる力を
竹馬の高さが遮っていたわけです
だったらその高さをどければ良い

たまに「甘やかし」とかいう人がいますけれど
それって本来の目的を見失ってません?て思います
最初のハードルを下げることで、その後の成長が見込めるなら
それが子どもにとっての“最善の利益”でしょう

大人の「甘やかし」という価値観が
子どもの成長の妨げになっていては
保育者の本懐を遂げるのは困難です

ということで
0段の竹馬を経て
子どもたちはぐんぐんとその力を発揮するようになっていきました

さて、どの年の運動会はどうなったかというと
クラス全員が6段の竹馬に乗れるようになっていました

これは、予想以上の結果です

高い竹馬に乗れる方が優秀というわけではないですが
子どもたちが目指して達成したことですから
そこには敬意しかありません

子どもたちは6段の竹馬でも
自分たちで考えてきた“技”を駆使して楽しんでいましたしね

さて、問題はどう披露するかです

私は竹馬の高さを巧さの基準としていませんし
子どもたちにも“自分の足のように扱えること”が重要だと伝えてきました
子どもたちも保護者に見せたいのは
自分で考えた“技”とそのバリエーションです

6段の竹馬では、小刻みな動作は難しいです
菜箸でご飯を食べるようなものですからねw

子どもたちと相談の結果
運動会には4段で臨むことになりました
でも、6段に乗れることも披露したい

そこで、入場は6段に乗り
“技”の披露は4段に乗り換えることにしました
昨年まではひとりずつ見せていたものを
4人同時で披露することに
自分の見せたい“技”にあったコースを選べるようにしました

巧技台の階段を登りたい子もいれば
タイヤを8の字に回りたい子もいます
後ろ歩きやクイックターンをしたい子は障害物の無いコースを選びます

こうして、子どもたちが考えた環境で
運動会の競技を行うことになりました

保護者には、事前に子どもが選んだコースの配置や競技順などを伝えておきます
我が子の雄姿は近くで見てもらいたいですからね

4人同時に競技へ取り組むことで
30分を越えていた5歳児の競技時間は
20分未満へ短縮できました

運動会後に保護者からは
「全員が6段って、とんでもない前例を作ったんじゃないですか」
という感想もいただきましたが
そこはくり返し大事にしてきたことをお答えしました

遊びは、楽しんでナンボです🤗

運動会の競技は
子どもたちが楽しんできた遊びの延長線上にあります
本来は、通例といったものは無いはずです

今回の場合は、大人の都合で決まってしまった競技でしたが
それでも、子どもの主体性が発揮できるように
環境を整えていくことはできると思っています

半ば義務のようになっていても
子どもが自ら取り組みたくなるよう
私たち保育者は工夫ができるでしょう
そのためのプロフェッショナルですから✌

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