絵本の語り場 ~絵本は、ええ本~”3才児向け×冬”

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たのしい絵本

こんにゃちは、猫月だんくるおすてうすです。

今回も、酒井沙弥香さんとの共同企画
絵本の語り場 ~絵本は、ええ本~で紹介した
絵本のレビューを寄せたいと思います。

【絵本の語り場 ~絵本は、ええ本~】は、
みんなで絵本についてワイワイ喋ろう!というものです。
毎月一回、
テーマに沿った絵本を持ち寄って
その絵本の魅力
選んだ基準
どんな読み方・提供の仕方をするのか

といったことを楽しむ時間にしてきました。

ということで、
第3回 絵本の語り場
で私が紹介した絵本は、こちらです。

「バルボンさんのおうち」
作・絵:とよたかずひこ
版:アリス館

あらすじ

ワニのバルボンさん、
今日はお勤め先の動物園はおやすみです。

朝ご飯を食べ終えたバルボンさんが、
裏庭でのんびりしていると、
お客様がいらっしゃいました。
一緒に動物園にお勤めの、
カバさん、フラミンゴさん、ゴリラさん、バクさんが、
次々にバルボンさんのおうちへやってきます。

午後になりました。
近所の子どもたちが、幼稚園から帰ってきました。
そして、しばらくすると、
「バルボンさん、バルボンさん」と、
子どもたちが遊びに来ました。

「やあ、いらっしゃい。さあ、どうぞ」

みんなで夕方まで、いっぱいいっぱい、遊びました。

”起承転結”を楽しむ

物語は、基本的に
「起・承・転・結」
で展開され、
その形が面白さの基礎でもあります。

「バルボンさんのおうち」では、

バルボンさんが裏庭で過ごす場面が「起」

同僚の動物たちが訪れる場面が「承」

午後になった場面が「転」

バルボンさんのおうちの中の場面が「結」になります。

ところで、
お笑いで同じ展開を繰り返すことを
”てんどん”と言います。
同じような展開を繰り返すことが、笑いを生むのです。
ものがたり絵本を楽しみ始めた子どもたちには、
この てんどん=マンネリズム がカギです。

この絵本の中で、
動物園の同僚が訪れる場面は、
てんどんの構図になっています。
バルボンさんのおうちの玄関前でのやりとりが、
都合4回繰り返されます。
この繰り返しは、
ものがたりの助走になっています。

マンネリズムは、心理的には安心を生み出します。
同じような展開が続くことで、先の予見が立つからです。

4回、玄関前の場面が続くことで、子どもたちは安心を覚えます。
安心したところで、
「ごごに なりました。」
「きんじょの こどもたちが ようちえんから かえってきました。」

と場面展開します。

ですが、次の場面では、
またバルボンさんのおうちの玄関前に戻ります。
一度場面転換をしながら、再度戻ることが
「何か起こるかも」
と子どもの心に揺さぶりを起こし、
助走となっているのです。

この、安定と変化の面白さを重ねて体験していると、
初めて読む絵本に対しても期待感を持てるようになっていきます。

ところで、どこが”冬”なの?

語り場の中でも、
参加者の皆さんが抱いた疑問です(笑)

「バルボンさんのおうち」には一切、
季節に触れる言葉は出てきません

月曜日という説明はありますが、
春夏秋冬については誰も何も言わないんですねー。

でも、冬の絵本なんです

どこでそれが分かるかというと―
絵本の中で描かれる、
動物園の同僚や、通りすがりの人や、
幼稚園から帰ってきた子どもたちの服装で分かるのです。

例えば、
カバ、ゴリラ、バクは
特に季節が分かる衣装や小物を持ち合わせていませんが、
フラミンゴだけはマフラーをしています。
街行く人がコートを着たり、
ニット帽をかぶったりしています。
バルボンさんのおうちへ遊びに来た子どもたちは、
うき輪を抱えていますが、
その手には手袋があります。

”3才児向け×冬”
というテーマを受けたときに、
私が選考基準に選んだのは、
「子どもが自分で気付いて楽しめるか」でした。

2才児であれば、
直接的に描写で冬と分かる絵本が良いと思います。
なぜなら、物心が付いて初めての冬だからです。
0、1才は、まだ経験が乏しくて
季節というものに気付けません。
2才になっての体験が、知識的には初めての経験であるので、
「冬って、こんなことがあるよ」
という絵本の方が楽しめると思います。

3才児になると、
2才での経験を受けて、
多少なりとも冬がどんな季節であるか予見も立ちます。
「雪が降る」とか
「氷ができる」とか
クリスマスやお正月への期待なども出てきますね。

「バルボンさんのおうち」の中には、
文言での季節の描写はありませんが、
絵の描写で⛄と分かる物がちりばめられています。

最初は、単純に物語を楽しんでいくでしょう。

繰り返し絵本を読む中で、
「あ、手袋してる!」
「手袋をしてるから、外は寒いんだね」
「寒いのは、冬だからだ!」

という、発見をしていくと思います。

まるで、宝物を見つけたかのように

それは、
3才児ならではの、
”てんどん”
”視野の広がり”が成せる
絵本の楽しみ方だと思います😊

”3才児向け”の絵本

最後に余談ですが、
3才児向けの絵本を探すのは、難しかったです。
それだけに、絵本探しが面白かったのですが😄

絵本をいろいろ探してもらうと
体感していただけると思いますが、
「4さい~」という絵本が多いです。

実際、4才になると
長めのお話しでも読み聴きできるようになりますし、
文語での理解にも長けてきます。

かといって、
0~2才児向けの絵本では、
3才児には少し物足りなさもあります。
起承転結の面白さが分かってくる時期なので、
単純な展開だと、
絵本の面白さが感じられないのです。

展開の繰り返しと、
結末の転調が感じられる絵本というと、
とよたかずひこ さんの作品は、
読みやすいと思います。
五味太郎さんも、そういう作品が多いですね。

あとは、私の欲ですが(笑)
クリスマスやお正月ではない内容で、
を表現している絵本を見つけたかったので、
この絵本にしました。

今回参加された皆さんも、
クリスマスやお正月を題材にされていませんでしたね👍

3才は、語彙が爆発的に増える時期でもあります。
絵本は、文語で表記されているという特徴もあります。

言葉の魅力をたくさん感じ、
たくさん身に付けてもらえる3才児
たくさんの絵本とふれあってもらいたいと思います。

赤い服のおじいさん🎅に、
絵本をお願いするのも
良いのではないでしょうか
😊

では、また!

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