絵本の語り場 ~絵本は、ええ本“乗り物”

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たのしい絵本

こんにゃちは、猫月だんくるおすてうすです。

今回も、酒井沙弥香さんとの共同企画
絵本の語り場 ~絵本は、ええ本~で紹介した
絵本のレビューを寄せたいと思います。

【絵本の語り場 ~絵本は、ええ本~】は、
みんなで絵本についてワイワイ喋ろう!というものです。
毎月一回、
テーマに沿った絵本を持ち寄って
その絵本の魅力
選んだ基準
どんな読み方・提供の仕方をするのか

といったことを楽しむ時間にしてきました。

ということで、
第9回 絵本の語り場
で私が紹介した絵本は、こちらです。

「さんりんしゃにのって」
作:とよた かずひこ
版:アリス館

あらすじ

うららちゃんが三輪車に乗っています。
ブッブー ブッブー。
今日のうららちゃんは、バスの運転手です。
「のりませんか?」

“ブッブー ブッブー”

この絵本のタイトルは
さんりんしゃにのって」ですが、
これは“バス”の絵本です🚌

だって、
「きょうの うららちゃんは バスの うんてんしゅです。」
って書いてありますもの😄

そして、一枚ページをめくると、
そこからはバスの運転手であるうららちゃんの物語が綴ってあります。

たしかに乗っているのは三輪車なのですが、
うららちゃんにとっても、
読んでいる子どもたちにとっても、
それはもうバスなんです。

“見立て”遊びという物があります。
大人からするとある物を別の物に見立てて遊んでいるように思いますが、
実際に遊んでいる子どもたちは、
もうその実物として扱っているんですよね。

だから、電話をしていれば、
そこからは誰かの声が聞こえるし、
ハンドル(ステアリング)を握っていれば、
乗り物は動いているのです。

子どもたちは、うららちゃんと同じ目線でバスの運転手になってしまう
何とも魅力的な始めのページです。

運転と、運転

この絵本は、大きく前半と後半で展開が変わります。

前半は、うららちゃんが三輪車にまたがって、公園の各所を巡ります。

後半は、うららちゃんがホイールを握って、地面に描いたバスを走らせます。

前半のバスには、お客さんが誰も乗りません。

後半のバスには、公園にいたみんなが乗車します。

同じバスなのに、一体何が違うのでしょう?

それはもう、大人からすれば一目瞭然なのですが、
こういう遊びの転換というか、工夫というか、
子どもの発想って素晴らしいですよね。

読んでいる子どもたちは、
うららちゃんの姿から遊びのヒントを得たり、
自分もやったことがあると共感したりします。
絵本の中から、現実の遊びの栄養素を、たくさん吸収するんですね

そして実際に遊んだあと、
またこの絵本を見ることで、遊びのフィードバックをするのです。

遊びのサイクルというのは、一度巡って終わりではありませんから。
でも、2回目のサイクルには、何かしらの試しが入っているはずです。
大人の目には見えないかも知れませんが、
子どもたちの頭の中では、
「もっと面白く遊べそう」が走り出しているはずですよ。

遊び終わるまでが、遊びです

絵本の最後、
終点までバスを走らせたうららちゃんは、家に帰ります。

でも、遊びは終わっていないのです。

最後のページには、こう書かれています。

「しゃこに はいりまーす。ブッブー ブッブー」

遊びがすべて終わるまで、うららちゃんはバスの運転手です。
そして、背表紙
とよた先生は、しっかり最後まで、うららちゃんの運転手振りを描いてくれています。

この感覚、とても大事だと思います。

遊びの時間が終わりだからと、子どもの遊びの世界を打ち切っていませんか?

その子の遊びは、きちんとエンディングを迎えることができたでしょうか。

余談ですが、映画を観ていると、
エンドロールの間に席を立つ方が増えたように思います。
時間を有効に使っているとも言えますが、
映画の時間を最後まで使えないとも思えます。
“効率”をお題目にしながら、
実は自分の意思を何かに奪われているだけなのではないでしょうか。

保育士としては、子どもの遊びは最後まで保障したいと思います🤗

その子の遊びを、大人の都合で壊しては、子どもの成長を妨げているだけ。
子どもの成長を保障する保育士は、そうであっては本分を果たせません。

遊びが終わるまでが、遊びです。

絵本の中だけでなく、実際の遊びでも、そうありたいですね。

“乗り物”の絵本

子どもの期待感が、シンプルに活き活きと描かれています。

子どもの乗り物ごっこは、クリエイティブなんです。

自分で飛行機を作って空の旅へ出かけられたら…🛩

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