こんにゃちは、猫月です😺
質問をいただきました
「男性保育士って、何が大変ですか?」
これは実習生からの質問です
きっと彼は本当に保育職場へ勤めるつもりで
私にこの質問を投げ掛けてきたのだと思います
20年以上保育園・福祉の現場にいますが
「何が」という
具体的な回答を求められたのは初めてでした
ということで、今回は
私が男性保育士として勤める中で感じていることを
お話ししていきます
・「ジェンダー」とは
・そもそも人数が少ない
・更衣室と男性用トイレがない
・“男性”という下駄
・感情論とどう付き合うか
では、まずは「ジェンダー」についてお話しします
総合電子書籍ストア【楽天Kobo】「ジェンダー」とは
まず、「ジェンダー」とは何か
おさらいしておきましょう
ジェンダー(社会的性別)とは
自分自身をどう感じ、どう表現し、
社会的にどう位置づけるかの考え方です
男性・女性であるとか
もしくは両方であるとか
あるいはどちらでもないとか
各々が自分の性別を感じます
それには、生まれつきの性別とは違い
社会や文化、自分の経験が影響しています
「自分らしくありたい」
と感じる性別のあり方なので
ジェンダーには多様性があります
日本では保育の仕事は
一般的には女性の職業と見なされています
いわゆる「ステレオタイプ」というものですね
実際、「保育士」というと
エプロンを付けた女性を
思い浮かべる方が多いではないでしょうか
ちなみにですが
私の職場でも新規採用者が配属されると聞くと
女性であることを前提に受け入れ準備をしていました
私がいるのにですよ?
男性の新卒者の可能性だってあるのに、です😓
さて、ジェンダーの話に戻りますが
私が保育園職場で期待されることは
往々にして「男性らしさ」です
運動遊びや構成あそび
力仕事や高所作業
パソコン業務などがありますかね
ところがどっこい
私は運動神経が悪いですし
身長もさして高いわけではありません
まぁ、それでも女性よりは力も身長もありますが…
結局のところ
男女を問わず重要なのは”個性”です
最初こそ「男らしく」を意識しましたが
そんなメッキはボロボロと剥がれ落ちるものです
私が園内で活躍できる場は
裁縫であったり
絵本の読み聞かせであったり
保護者との対話であったり
「男らしい」とは無関係なことばかりなのです
周囲からの期待は期待として
「自分らしさ」を発揮することが大事だと思います
そのためには
自分の得意や苦手を把握して
周囲にも認識してもらうことが
働きやすさにも影響するのではないでしょうか
そもそも人数が少ない
男性が保育士になることは珍しく
私が保育園に勤めた頃は
まだ保育士の男性比率は1%未満でした
厚生労働省によると
令和2年度の保育士登録者数は約166万人で
そのうち男性は約8万人と
全体のおよそ5%となっています
私が保育士になった頃よりも
5倍以上に増えたとも言えますし
まだ20人に1人しかいないとも言えます
公立保育士は公務員ですから
必ずしも保育園へ配属されるとは限りません
というか、福祉職採用なんですよね
役所内の他の部署で働く人も多いので
保育園現場へ配属される男性保育士は
さらに数が限られます
異動に関しては男女での区別はありませんから
同じ保育園に男性がいたこともありますし
私だけしかいないということもあります
当然、男性のいない保育園が圧倒的に多いです
過去に男性が配属されたこともない園も
まだまだたくさんあります
男性保育士と一緒に仕事をすると
想像したこともない人も多いんじゃないかなぁ💦
これが私立になると
そこそこ男性同士で保育できる環境もあるようです
クラスに1人はいる…とまではいきませんが
1園に複数人の男性保育士がいる
くらいの環境は広がりつつあるようです
男性が職場にいないことのデメリットは
私自身はあまり感じたことはないのですが
物理的な問題は次の項でお話ししましょう
更衣室と男性用トイレがない
男性として保育園に勤務していて
目下の大問題はこれかも知れませんね😓
最初のジェンダーの項でもお話ししましたが
「保育士=女性」のイメージが根深いですから
保育園施設自体が、女性限定で作られている
転職活動をしたときもありましたが
「男性はどこで着替えをしていますか?」と尋ねると
倉庫やトイレという回答が…
これ、就職先としてはよく考えた方が良いです
「自分は女性だから支障がない」と思う人
そうじゃないですよ?
その職場は「ジェンダーへの理解が足りない」職場です
ジェンダーすら克服していないのですから
他のアンコンシャス・バイアスも放置の可能性が大です
【アンコンシャス・バイアス】とは
無意識の思い込みや偏見のことです
「男らしい」「女らしい」とか
「男勝り」「女々しい」などがありますね
アンコンシャス・バイアスが放置されている環境は
子どもに対しても同様の対応である可能性も高いです
過去に騒がれた“不適切な保育”が残っているかも知れません
それは、あなたの望む保育環境ですか?
さて、話を戻しましょう
実は、自治体内には
男性更衣室やトイレのある園舎もあるのです
ところが、私はそんな園に配属されたことがない!
何故かというと
ここでは男女同権が発生するんですね
要は、異動や配属に関して
性別によらず機会を均等にする
裏を返すと―
性別を理由に配属先を配慮することもない
ってことですね
だから、男性更衣室があるのに
男性が一度も使ったことの無い園があるということです
こればかりは、男女の機会均等があるから
どうにもなりませんね
では、私はどこで着替えをしているかというと
以前はパイプスペースでした💧
さらに以前は教材倉庫でした(笑)
現在は、一応ロッカー室があります
ただし、時限パートさん(朝夕の保育補助)も使うので
時間が被らないように気を付けています😓
当たり前に更衣室やトイレがあるって
まだまだ難しいのかも知れませんねぇ🙄
男性保育士のための
物理的な環境を備えている保育園は
運営方針としても時代に則していこう
という心得があるのかも知れません
“男性”という下駄
これは以前にご一緒していた園長の言葉ですが
「男性というだけで、
子ども達は下駄を履かせてくれるからね」
というものです
その話があった当初は
「何のこっちゃ?」と思っていましたが
今ならその言葉の意味がわかります
男性保育士は存在自体が
良くも悪くも希少です
保育者同士はジェンダーレスを心掛けていても
子ども達は、そんなことはお構いなしです
やっぱり「男の保育士」なんです
身体も大きいし
力を使った遊びもできる
運動神経の鈍い私でも
2歳児までなら二人を抱っこできますからね
子ども達には
「私はアスレチックじゃない!」と応じつつ
やっぱり身体だけで展開できる遊びがあるんです
でもそれって
保育士としての実力とは違うと思うんです
保育の専門性というものは
やはり目的に沿った保育の展開ができるかだと思います
その遊びに目的があるか
その遊び方で目的は達成できるか
その手段以上に適当な方法はないのか
それらを総合的に考えるのが専門家です
子どもからどんなにチヤホヤされても
目的なき保育は、それまでです
もちろん、子どもが求める遊びが
その子にとって最善の遊びであるのも事実です
であるならば
子ども達に求められた遊びを
どう本来の目的に摺り寄せていくのか
そこが大事になってきます
抱っこを求められた時に
ただ抱っこして終わりにするのではなく
腕をスイングさせて
しがみつく運動遊びに変えるとかですね
それは、性別を問わずに求められることですし
発揮できるよう個人として努力する部分です
男性保育士ということで
子ども達は下駄を履かせてくれます
自分の実力以上に
子ども達が求めてくれますからね
でも、それは実力で手にした評価ではありません
地に足を付けた保育をするには
子ども達からの評価ではなく
自分で保育の目的と手段と経過を客観視することです
もちろん、自分の得手を活かすことは大事です
体格や運動能力だって得手のひとつですから
ただし、そこに頼り過ぎないこと
あくまで、手段は手段です
目的を見失わないように
日々の保育は振り返りたいですよね
感情論とどう付き合うか
最後になりますが
おそらく男性保育士として向き合う最大の課題は
周囲の感情論だと思います
最初にも話した通り
保育士に対するジェンダーは根深いです
それと併せて「男性」のネガティブイメージもついて回ります
私自身はどの年齢も担任したことがありますし
オムツ交換や着替えの援助もしていますが
3歳未満児の担任をしていることを
未だに驚かれることがあります
私は障害者の支援施設でも勤めていましたから
「同性介助」というものは理解しています
ただ、同性介助を理由に
男性保育士の援助は限定するべきだというのは
やはり難しいと言わざるを得ません
保育園で同性介助を原則とするならば
女児の援助は女性が
男児の援助は男性が
ということになります
先述の通り、
令和2年時点で男性保育士の割合は5%です
男児の援助は男性保育士に限定するならば
どうしたって援助の手が足らないのです
保育に同性介助を原則とするならば
男性保育士の割合を50%近くまで引き上げる必要があります
私も、理想としてはその状況が望ましいと考えますが
一朝一夕に成し得るかというと
それは、かなり困難であると考えます
一方で、女性が圧倒的に多い保育士が
女児は女性しか援助できないと限定すると
それはそれで大きな支障が発生します
反対しているわけではなく
現状ではその達成は限りなく不可能に近い
ということですね
これはシステムの課題です
男女の配分が50:50でないこともそうですし
現状であっても
保育士と子どもが2人だけになってしまう環境は
やはり問題があります
どんなに周囲からの信頼があったとしても
私は子どもと2人だけになる場面は避けます
トイレの援助にしたって
私の姿が他の保育者の視界に入る位置にいるのです
これは、性だけの問題ではないですよね?
第三者の目がない状況は
それだけで大きな課題を抱えています
信頼だけでは解決できないのです
男性だから大変ということではなく
私たちを取り巻く「感情論」とどう向き合うか
それは常に考えていなければなりません
また、客観的に子どもとの関りを把握できる保育方法は
保育園全体で考えていくものだと思います
保育はあくまで論理的に
そして倫理観を持って臨むものです
幸いなことに
私は「男性だから大変だった」という思いは
あまりしてきませんでした
保護者からも信頼をいただいてきましたから
それは、縁に恵まれたことも大きいと思います
一方で、結局は保育士としての専門性が
性別によらず、問われているのだとも思います
男性であろうが、女性であろうが
やるべきことを行い
ならぬものはならぬと冷厳であること
それが最低限のラインですからね
あとはまぁ、受け流すことも大事ですかね
「男らしく」とか
「男のくせに」と言われたことが
ないわけじゃありません
ただ「ふぅん?」くらいで
真正面から受け止めないようにしています
だって、その言葉には何の意味もないんですもの(笑)
「大人気って、どこの毛だ⁈」
ってセリフがありましたけど(笑)
私からしたら、ジェンダーなんておばけ👻です
あると思っている人にしか見えないんですよ
私はあくまで私
「男性保育士」は私の代名詞ではない
保育について話し合う時も
男性目線で語るのではなく
保育士として意見を述べているのです
「保育士として大変なこと」は
課題として取り組んでいきます
子どものためにも、保護者のためにも
そして自分たちのためにもね
保育士として、日々の課題と向き合っていただけたら
私は嬉しく思いますし
私のブログ記事がお役に立つのではないでしょうか
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