子どもは力を持っている─大事なのは、発揮できる環境と支える配慮 #6

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「私のお昼寝の片付けは”15分”です」というフ●ーザ風のタイトル やってみたよ!こんな保育

こんにゃちは、猫月です😺

前回は午睡(お昼寝)での配慮についてお話ししましたが、
今回はその続きと言いますか、
起床場面での子どもたちへの言葉掛けと配慮についてのお話です

子どもたちが気持ちよく目覚め、
午後の活動へと向かうために、
大人ができることにはどんなことがあるのでしょう

あ、今回のサムネイル
『私のお昼寝の片付けは“15分”です』は
子どもたちのセリフですw

私は保育の中でも、起床の時間は
大人の都合で進行しがちだと考えています

午睡時間中に保育園では事務仕事が遂行されます
そのために「できるだけ眠っていて欲しい」という本音があると思います

ですが、起床となると
「スムースに起きてほしい」に一変するのです

寝ている子たちからしたら、
そんな理不尽な話はないと、私は思うのです

ですが、これって保育園だけではないですよね?
家庭でも同様な状況があるように感じます
家事をしている間は、できるだけ眠っていて欲しい
でも、眠るときはあっさりと寝て、
起きる時はさっと起きるなんて、
大人だって要求されて応えられるものではないですよね

眠る時に環境や配慮が大事だったように
起床時にもまた、環境と配慮が大きく影響してくるのです

午睡の時間が終わる頃、
布団の中でもぞもぞと動き始める子もいれば、
まだ目が開かず眠気に包まれている子もいます

そんな子たちに対して、こんな言葉掛けがされることがあります
「早く起きなさい」
「もう、押し入れ閉めますよ」

果たしてこれは、誰のための言葉でしょうか?

疑問を感じていた私は、
職員会議でこう問いかけました
「布団上げって、誰の仕事ですか?」

同僚たちはキョトンとした表情
その反応を見ていた園長がこう答えてくれました
『子どもに自分の持ち物の始末を身につけてもらうために、
自立に合わせて委ねていくけれど、
“本来は保育士”の仕事だよね』

この一言で、保育士の中にあった“慣習”が音を立てて崩れました
「布団上げは子どもがやるもの」という思い込みは、
専門性から生まれたものではなく、
ただ慣れによって固定化されたものだったのです

私が担任していたクラスの子どもたちは、
食事の下膳も自分で行うくらいには主体的
でも、寝起きの良し悪しはまた別の話です

意欲があっても、目が開かない朝って、
大人でもありますよね
「眠い」という感覚は、意志の力ではどうにもならないことがあります

だから、私たちは考えました
「早く起きなさい」ではなく
「あなたたちは、自分で起きられるよね」
という伝え方をしようと

子どもたちの観察していると、
どんなに寝起きが悪い子でも、
15分あれば布団上げを終える姿がありました

ならば、と私たちは子どもたちの様子に合わせて基準を設けることにしました
「長い針が“3”になったら部屋に戻る」と
子どもたちに提案してみようということにしたのです

次の日、布団を片付けはじめた頃に、私は声をかけました
「今、時計の長い針はいくつかな?」
「みんななら“3”までに終わるよね」

この言葉をきっかけに、子どもたちの中に“標準”が生まれました
寝起きの悪い子も、「3までに」があれば、自分にスイッチを入れやすくなります
仮に、“3”を過ぎた子がいたとしても、
そこはサブの保育士がフォローをします
『置いていかれる』となっては、安心感から遠のいてしまいますからね

これまでは、いつ部屋へ戻るのかもわからないまま
ただ何となく待たされていたのですが
目安ができたことで
自分の始末が終わった子が友だちを手伝う姿も見られるようになってきました

“見通し”と“信頼”があれば、
子どもは自分で行動できるのです

この取り組みを始めて1ヶ月も経つ頃には、
子どもたちは“長い針が2”までに布団を片付けるようになっていました

ちなみにこの時間、まだ布団の中でまどろんでいる5歳児もいます
大人が声を掛け続けているのですから、
子どもからしたらいよいよ起こされるまでは、
自分から行動する動機が希薄になっているのだと思います

私たちは子どもたちに相談しました
「みんな“2”までで片付けできるようになったね
どうする?出発、早くする?」
子どもたちは自信を持って、
『“2”で出発する!』と答えていました

子どもの行動は、「もう○歳だから」で決まるのではありません
どんな環境の中にいるかで、発揮される力は大きく変わるのです

見通しを共有し、急かさず、
「あなたたちには力があるよね」と信頼する
午睡明けのちょっとしたひとときだからこそ、
保育士としての専門性や観察眼が輝くのだと私は思っています

さぁ、1週間の連載も明日が最終回です
BeforeからAfterへ─子どもの姿は、何が変えたのか?
まとめていきたいと思います
最後までお読みいただけたら、嬉しいです☺️

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