こんにゃちは、猫月です😸
「子どもの権利って、ちゃんと理解できてるかな?」
そんな問いからスタートしたこの連載
今回は、第2話として「児童福祉法」をテーマにお話ししていきます
この記事を読んでくださっている、あなたはいかがですか?
子どもに関する法律や憲章など
「難しいな…」と感じていらっしゃいませんか
法律や憲章を理解することは、
“守らなければならないルールやモラル”から
“保育の視点を広げたり、子どもとの関係を深めたりするための道しるべ”に
変えてくれるかもしれません
そう考えると、
保育が楽しくなりそうじゃないですかね
むずかしい言葉は、できるだけかみ砕いて
保育の“あるある”と重ねながら進めていきます
あなたも一緒に“子どもと向き合う目線”を整えていきませんか?
「児童福祉法」――保育を学ぶ中で、聞いたことがある方も多いと思いますが
どんな内容が書かれているのか、自信をもって説明できる人は
意外と少ないのではないでしょうか?
かくいう私も、大学で学んで以来、自分から読み返したのは数えるほどです😅

“児童福祉法”って
保育士なら本当は十分に理解している法律ですよねぇ
なかなか難しい内容ですけど

そうなんだよね、保育士なら知っている
でも正直なところ、“実は内容の理解はふわっと…”って人
多いと思うんだ。なにせ、私もその一人だし…

たしかに“保育所は児童福祉施設”ってことは、私も知ってますけど…
子どもに関わる福祉施設って他にもありますよね?

そうそう。未就学児の療育施設で働いていたときは
“保育所保育指針”じゃなくて“児童福祉法”が支援の土台だったの
その経験があったからこそ、あらためて“児童福祉”を学びたいと思ってるんだ
聞いたことはあるけれど、そこまで詳しくは知らない「児童福祉法」
今回は、子どもの福祉=幸福を支える法律について学んでいきます
▶保育士の目線から「不適切な保育」を考えた本です
児童福祉法って何?ざっくりと説明すると…

うーん、児童福祉法って…テスト勉強ではしてきたけど
深い理解はできていないかな…まずは「児童福祉法」がどんなものか
基本からざっくり教えて!チャッピー
「児童福祉法」のとは?

児童福祉法は、1947年(昭和22年)に制定された法律です
戦後の混乱期に、「すべての子どもが、ひとしく守られ、育まれるべき存在だ」
という理念のもとに生まれました
全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。
児童福祉法 第1条 第1項
この法律は、子どもに関わる制度や施設の土台を定めている
という理解で良さそうですね
たとえば、保育所・児童相談所・児童養護施設などは
すべて児童福祉法に基づいて設置・運営されています
つまり――
保育園も“児童福祉施設”のひとつ
そして、保育士は“福祉の専門職”なのです
児童福祉法の理念を読み解いてみる
児童福祉法の理念について、こんなふうに書かれています
すべての児童は、ひとしくその心身の健やかな成長と、人格の完成が図られ、幸福が保障されなければならない。
児童福祉法 第1条 第1項
一見、当たり前のことのように思えますが
この一文にはとても深い意味が込められています
まず注目したいのは、「すべての児童は、ひとしく」という言葉
これは、性別や家庭環境、障害の有無、国籍、経済状況などにかかわらず
すべての子どもに等しく福祉を保障する、という強い意思の表れです
また、「人格の完成」という表現には
少し違和感を覚える人もいるかもしれません
“完成”という言葉が
「子どもを型にはめる教育」や「正解のある育ち」を想起させるからです
でも、ここでの意味は
“子ども一人ひとりの個性が、豊かに育まれていくこと”
と捉えるのが自然でしょう
そして最後の「幸福が保障されなければならない」
これは“将来の幸福”だけでなく
“今この瞬間を生きる子どもの幸せ”も含んでいる
と、私は解釈しています
保育の中で大切にしたい、“しあわせ”の視点
ここではあえて、子どもの“しあわせ”という言葉を使おうと思います
児童福祉法では「幸福の保障」という表現が使われていますが
保育の現場ではもっと素朴で、もっと日常に根ざした
“しあわせ”という言葉のほうが
子どもたちの姿にしっくりくる気がするのです
おいしいごはんを食べること
好きな遊びに夢中になれること
そして、安心できる大人にそっと寄り添ってもらえること
時には泣いたり怒ったりしながらも、誰かと心を通わせること
それらすべてが、子どもにとっての“しあわせ”であり
私たち保育者が守るべき“福祉”のかたちでもあります
けれど、子どもにとっての“しあわせ”と
大人が考える“しあわせ”は
必ずしも一致しません
たとえば、泥だらけになって遊ぶことを「楽しい」と感じる子どもと
「着替えが増えるから」「風邪をひいたら困る」と心配する大人
子どもにとっては“満足”や“達成感”を得られる大事な体験でも
大人の目には“避けるべき行為”に見えることがあります
このとき、「しあわせの形って誰が決めるの?」という問いが立ち上がってきます
児童福祉法が示しているのは
「大人の理想を子どもに当てはめること」ではなく
子ども自身の“今この瞬間のしあわせ”に目を向けよう
という姿勢なのだと、私は読み取っています
児童福祉法は、子どもの“将来のため”だけでなく
“今この瞬間を生きている子ども”の幸福も保障しようとしています
その視点に立つと、保育の場面で見えてくるものも変わってきます
たとえば、こんなやりとり――
「ごはんを食べるのが遅いから、早くしようね」
「片づけの時間だよ。遊びはお終いね」
こうした言葉がけの中に、大人の都合が入りすぎていないでしょうか
子どもが「もっと味わいたい」「まだ遊びたい」と感じている“今”に、
私たちはきちんと目を向けられているでしょうか
もちろん、生活のリズムは大切です
でもそれは、子どもにとっての「気持ちよく過ごせる生活」なのであって、
“効率”や“大人の段取り”に合わせて展開されるものではないはずです
子どもたちは、大人が思っている以上に繊細に
「快・不快」や「心地よさ・違和感」を感じ取っています
大人に合わせて我慢することもあるし
「早くしなさい」と言われて、ぐっと気持ちを引っ込めてしまうこともあります
だからこそ私たち保育者は
子どもが見せる何気ない表情やつぶやきに目を向けたいのです
「今日はずっとこの場所にいたい」
「だれとも遊ばずに、ひとりで過ごしたい」
「急いで片づけたくない」
それらは、子どもなりに“今のしあわせ”を守ろうとする、確かな意思の表れです
私たちは、子どもの気持ちに気づき、寄り添い、尊重する
それが、児童福祉法が示す「福祉の保障」にほかならないのではないでしょうか

“福祉”って言葉、なんとなく堅苦しい印象でしたけど……
“しあわせ”って置き換えると、ぐっと身近になりますね

うん。子どもの“今”を尊重するって、実はすごく大事な視点なんだよね
大人の都合だけで保育を回していないか、自分自身も省みていくよ

児童福祉法は、保育者として“今この瞬間のしあわせ”を支える
という視点を持つための道しるべでもあるんだよ
次回は「こども基本法」について取り上げます
「こどもまんなか社会」という言葉を耳にすることも増えましたが
その背景にある考え方を一緒に見ていきましょう
▶工藤勇一先生が子ども向けに「主体性」について書いた絵本です
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