絵本の語り場 ~絵本は、ええ本~”まち”

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たのしい絵本

こんにゃちは、猫月だんくるおすてうすです。

今回も、酒井沙弥香さんとの共同企画
絵本の語り場 ~絵本は、ええ本~で紹介した
絵本のレビューを寄せたいと思います。

【絵本の語り場 ~絵本は、ええ本~】は、
みんなで絵本についてワイワイ喋ろう!というものです。
毎月一回、
テーマに沿った絵本を持ち寄って
その絵本の魅力
選んだ基準
どんな読み方・提供の仕方をするのか

といったことを楽しむ時間にしてきました。

ということで、
第5回 絵本の語り場
で私が紹介した絵本は、こちらです。

「はじめてのおつかい」
作:筒井頼子
絵:林明子
版:福音館書店

あらすじ

ある日、5歳のみいちゃんは、ママにおつかいを頼まれます。
「ひとりで!」みいちゃんは飛び上がりました。
今まで、一人で出掛けたことなんか、一度も無かったのです。
赤ちゃんの牛乳を買いに、初めてのおつかいに出ることになりました。
みいちゃんはママと二つ約束をしました。
クルマに気を付けること
おつりを忘れないこと
みいちゃんは、ママに、百円玉を二つもらって、
手にしっかり握りしめ、うちを出ました。
みいちゃんは、無事におつかいができるのでしょうか。

はじめてのおつかい

牛乳を買いに出掛けたみいちゃんは、
いつもはママと歩く道を、初めて一人で歩きます。
牛乳を買うお店までの道は、十分に知っています。
お店の手前にある坂道を、駆けっこで登るのも慣れているのでしょう。

でも、いつもと違うこともたくさんあります。
猛スピードで走ってくる自転車を、自分で避けなければなりません。
買い物のための200円を、失くすわけにはいきません。
お店で、欲しい物を伝えるのも自分です。

いつもはママと一緒に歩く道も、
一人で歩くと違って見えることでしょう。
日常にある街並みが、
初めてのおつかいの中では、違った景色に移ったことと思います。

自分が住む”街”

昨今では、
5歳の子をひとりで買い物に出すということは、なかなか無いと思います。
保育園の年長児でも、
ひとりで買い物へ行った経験がある子は、なかなかいないです。
(地域柄もあるとは思います)

それどころか、
保護者と一緒に銀行や郵便局、役所といった
公共機関へ行った経験が無い子もいます。
銀行がどんな場所かも知りませんし、
手紙には切手が必要だと知らない子もいます。

子どもたちが知っている施設は、
保育園と、駅、公園、図書館や子育て広場くらい?

大人からすると当たり前に街にある物が、
子どもたちの目には映っていないのです。
これって、実は怖いことなのです。

街にある施設は、学校では教えてくれません。
町探検と称して、授業で学校の近隣を回ることはありますが、
訪れる施設は限られていますし、
調べ物はしても実際に利用するわけではありません。
自分の住む街に何があるのかを知らないまま、大人になっていく。
子どもたちが成人した時、
大人なのに一人で生活していけない
そういう可能性だってあるのです。

街にある物は、家族と利用することで、
その施設の必要性や役割を知り、また身近に感じていくのです
それが、ゆくゆくは
社会の中で独り立ちする時に、
生活していく生活力が備わっていると
いうことにも繋がっていきます。

”まち”を感じる絵本

「はじめてのおつかい」は、
幼児による初めての冒険譚のようでもありながら、
その冒険が繰り広げられる舞台は”街”です。
ひとりの女の子を、
自分の身に置き換えながら
街を歩いて行く物語です。

子どもがひとりで街を歩くことを賞賛しているわけではありません。
自分が住む街を、十分に感じ、知り、身近なものと感じる。
そのきっかけとして、私はこの絵本は魅力的だな、と感じるのです。

お子さんと一緒に、自分たちの“まち”を歩いてみませんか。

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